第327話 まだ仕事が山盛りめんどくせぇ

 【バットドラゴン】


 体長三メートルのコウモリの羽を持ったドラゴンで牙をもたず、獲物を丸飲みする。

 正体は中級吸血鬼の成れの果て......

 魔物なのに魔力を持っているので魔法で攻撃をしてきて、鋭い爪で敵を切り刻み相手を殺して丸のみする危険な魔物だ。


 そして、ここは《スコーピオル》の魔王城内にある死骸置場。


 ここでは血を抜きすぎて死んでしまった人間や、年老いて血が不味くなった人間が雑に、使えなくなった道具をゴミ箱に捨てられるように置かれていた。


 暗く、暗黒でじめじめしていて鼻をつんざくような臭い......誰も近寄らないような場所に一人の女性が扉をあけた。


 「まったく......世話の焼けるやつさね、こんな所まで呼び出してきて」


 長い黒髪を揺らし下に落ちている人間の手や眼球、内蔵を踏み潰しながら歩いていくのを天井にぶら下がっている【バットドラゴン】は狙いをさだめる。

 

 「さて、と、ひぃふぅみぃ......ザッと見て20体ってとこさね、ほれ、エサはここにあるさね襲ってきてみるといいさね」


 天井の魔物は一斉に女性に襲いかかっていったが


 「【ベルゼグリード】」


 女性の魔法の力でバットドラゴンは煙を立てながら皮がただれ、眼が抜け落ち、爪はボロボロになり、最後には腐り死んでいった。


 「............私にこんな専用技をつけるなんて神も皮肉な奴さね......」


 そして彼女はバットドラゴンの腐っている腹を蹴る。

 

 「ほら、迎えに来たさね、さっさと起きろ」


 グチャッとバットドラゴンの腹から手がでてきて異臭を放ってる中から裸の男性が出てきた。


 「はぁ......もう魔物の腹の中なんて経験したくないめんどくせぇ」


 「おうおう、どうだったさね?子宮に戻ったきもちになったさね?ルコサ」


 ルコサは投げられた白い神父服をとって着ていく。


 「うるさいぞールダー」


 「はん、神に感謝するさね、やることがなければそのまま死んで今頃消化されてたさね」


 「こんな事が多いなら神の仕事をしていても死んでるようなもんだよなぁめんどくせぇ」


 「......ついに、アイツが目を覚ましたぞ」


 「あーぁ......まためんどくさいことになったなぁ......」



 ルコサはのびをしてあくびをした後次の仕事に移るのだった。


 

 

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