第324話 決着
「話は終わったか?」
アオイの雰囲気が戻ったのをアビは感じとる。
「貴様......気付いているのか」
「俺の中の『女神』の存在の事?......だからどうした、俺は俺だそれ以上でもそれ以下でもない例え違う身体、違う人格が入ってたとしても俺は俺なんだよ!」
「お前は一体なんなんだ!」
「俺は【アオイ】!ただのお酒が大好きな人間だぁぁあ!」
「!?」
アオイが一瞬でアビの下に移動してアッパーをくらわせ天井にぶつかり開戦する。
「死ね!アオイイイィ!」
アビは天井をそのまま足場に使ってアオイに向かって飛んで四本の尻尾で攻撃する。
「っ【流し】!」
アオイはアビの波状攻撃をなんとか流し続ける、四人で四本より一人で四本の攻撃は隙がない。
「さっきの勢いはどうした!」
「お前が俺を名前で呼んでくれたから嬉しいだけだよ!【白刃どり】!」
なんとか一瞬の隙を見て三本尻尾をつかむが
「甘い!」
最後の一本がアオイを仕留めようとしてくる。
「あぶねっ!」
とっさにアオイは身体を反らして避け距離をとる、前のアオイなら出来ない反応だ、しかし、【勇者】としての身体が反応する、アオイの知識の通りに身体が動く。
「アニメ見てるおかげだな......」
「良く避けたな、ではこれはどうだ?」
アビの周りに大量の魔法陣が展開され、その全てから魔法が放たれアオイを狙う。
「【地割れ】!」
とっさにアオイは床に穴をあけ下の部屋に移動するが
「逃げても無駄だぞ!」
「くそ!魔法使いながら追ってくるのかよ!」
アビはコウモリの羽を広げて追ってくる。
アオイは全力で部屋中を走り回る。
床を......壁を......時には天井を.....アオイの身体はアオイが思ったように動くために自動で魔法を発動させてサポートをしてくれる。
「そこだぁぁあ!」
「なっ!!」
アオイは一瞬で急旋回してこちらを追いかけていたアビを殴りとばす。
「ガハッ!」
勢いよくアオイを追いかけていたアビはくるくると周りながら殴り飛ばされ壁に激突した。
「はぁはぁ......ふぅ......」
アオイは息を整える、サポートしてくれていると言ってもアオイにとっては全力疾走で走り続けているようなものだ。
フラフラとアビも立ち上がる。
「はぁはぁ......この吸血鬼の王である俺に血を流させたな!」
「何が血を流させたな!だ!お前は今まで何人の血を吸い、そして何人の血を流してきたんだ!」
「食料の事など知らん!貴様ら人間は我らに食われるだけの家畜だ!そしてその頂点に立つ俺をこんな姿にするなど!」
「だまらっしゃい!百歩譲ってお前の理論でいくとすひまるちゃんはどうなんだ!同じ吸血鬼だろ!」
「すひまる?あぁ、あの下級きゅうけ」
しかし、アビがそのセリフを言い切ることは無かった......アオイがアビに転移魔法で一瞬で近付いてアビの服を掴み反対方向の壁に投げ飛ばした。
「どうせそんなことだろうと思ったよ!!お前ら上の人間は下の奴の事なんて覚えてない道具としてしかみてない!ムカつくんだよ......これ以上【私』を【怒』らせるな!お前みたいなのが王なら......いや、お前みたいなのが王だから」
「【私』に滅ぼされるんだよ!」
「ふざけるな!ここまで吸血鬼が進化出来たのは俺のおかげだろうが!」
「知らねーよ!おかげかどうか解んないけどな......【私』は認めねぇ......」
アビはボロボロの羽を広げ空を切る音をたてながら全力でアオイに飛んでいく。
「しねええええぇ!アオイイィ!」
渾身のサソリの尻尾でアオイの首を刈り取ろうとしたが、アオイはそれを避け尻尾を掴み
「な!?」
「男なら歯くいしばっとけ!」
アオイは思いっきり床にアビを叩きつけ。
「【魂抜き】!」
衝撃でアビの脳が揺れているところを追い討ちのように【魂抜き】でアゴを綺麗に打ち抜き気絶させ、勝負はついた。
周りの時間が動き出す。
「........................」
アオイは気絶している魔王を置いてその場を去った......
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