第296話 おかぁさん?

 「この様に【氷魔法】の魔皮紙にみんなで魔力をいれることにより温度が下がります、試してみましょう」


 マジック科生徒の一人は奥に置いてる花束に向かって魔皮紙を構え発動させる。


 「「「おおお」」」


 そのうち一つの花を手にとって花びらを上から握りつぶすとパリパリと音をたてて砕け散った。


 「お花さんパリパリになったー」


 「ユキちゃんユキちゃん!見た?魔法ってすごいね!」


 「見ましたです!あれを食らったら人間なんてひとたまりもないです!」




 「と、言うわけで次はこれを人に撃ってみまーす」


 「「えー!?(です)」」


 「安心してください、ちゃんと装備をした人だからね?」


 そう言うと扉から鎧を来た人が入ってきた。

 子供達は食い入るように見ている。


 「では見ててくださいーそれ!」


 マジック科の生徒は鎧の人に向かって容赦なく氷魔法を撃ち、命中。

 するとたちまち鎧の人は氷ってしまった。


 「わーーーー!?」


 「かたまっちゃった!」


 子供達が心配そうな目で見ている中、鎧の人からシューーーと音をたてながら煙があがり。


 「ふんっ!」


 鎧の人は子供達に大丈夫と言うようにポーズを決めた後手を振った。


 「「「「わーーー!すごーーい!」」」」


 「みんな楽しんでくれたかな?」


 「「「たのしかったーーー!」」」


 「すごかったです!」


 先生達も子供達の反応を見て嬉しそうだ。

 

 「はーいー、じゃぁみんなーお礼を言って次いきましょー」


 「「「「マジック科のおにいちゃんたちありがとうございました!」」」」


 「はい、どういたしまして♪」


 子供達は列を作って教室を出ていき、最後にユキとミイが出た。

 

 「プレジさんー、すいませんー」


 「はい、どうかされましたか?ドーロ様」


 「ここら辺で子供達にトイレ休憩をさせたいんですけどー」


  「ふむ。分かりました、ここからでは体育館が近いですね」


 「いーのー?体育館では美少女コンテストとかが今あるんでしょー?」


 「はい、美少女コンテストや美男子コンテスト、その他にも料理一品コンテストなど一日中やってます、是非ドーロさん達もどうぞ」


 「フフッお世辞がうまいのねー」


 「いえいえ、お世辞ではありませんよ?......なのでコンテストとは別に体育館の裏に準備室があるのでそこならどうですか?」


 「あら、ありがとうー、あまえるわねー?」


 「どうぞ甘えてください」


 そのまま生徒や人混みの少ないルートを駆使してプレジは目的地までつく。

 実際は同じアリスト科の生徒と通信をして人が少ないところを誘導してもらったのだ。


 体育館裏の準備室は今はアリスト科の生徒が三人ほど居るだけだ。

 

 「みんなー、おトイレいっておいでー」


 「「「はーーい」」」


 ゾロゾロとトイレの方にいってルクスは女トイレにウマヅラは男トイレに行った。

 

 「あらー?いいのー?ユキちゃんは」


 「はいです!大丈夫です!」


 「行っておかないと後で行きたくなるわよー?」


 「フッフッフ、それでも私は大丈夫なのです!」


 「そーうー?」


 「へへ♪です」


 トコトコとユキはそのまま教室内をウロウロしだし、ドーロもそれ以上聞かず他の子にも聞いて回る。


 それを見計らってユキはコソコソと貰った魔皮紙を取り出して

 

 「ふへへ、飴のお兄ちゃんの貰ったの使うチャンスです」


 魔皮紙に魔力を通すとそのまま魔皮紙が黒い小さな黒いイヤホンになった。

 

 「わー!すごいです!このペラペラなのが物になるなんて!」


 すこし指でフニフニして強度を確認するがちょっとやそっとじゃ割れそうにない。

 

 「ふひひ、付けちゃおっです」


 ユキは耳に付けて付けてるのが分からないように髪で隠した。


 「おー!すごいです!」


 つけた瞬間ユキの耳に様々な人の声が入ってくる、そして聞きたい声や音を意識するとその人の声が聞こえてくるのだ。


 しかし、弱点が


 「どうしたのー?」


 「うひゃぁ!?」


 他の事に集中しているので近くに来たドーロに気づけなかったのだ。


 「んー?」


 「な、なんでもないです!」


 ユキはとりあえず周りを範囲にして気を付けるのであった......



 そして何分か経って子供達が全員揃いみんなで出る頃。



 「何で僕が......」



 「?」


 「どうしたのユキちゃん?」


 「気のせいみたいです?」


 ユキの耳に聞こえた気がした......懐かしく、そしてユキにとって落ち着く女の人の声。

 しかし、それは聴覚強化されてるユキにしか聞こえない。

 ユキは気になってその声に意識を集中させると......



 「美少女コンテストは出ないよ!」


 今度ははっきりと聞こえた!

 それはずーーーーーっと会いたかったユキの大事な人の声!



 「おかぁ......さん?」


 「え?ユキちゃん?」


 しかし、ユキにはどうして聞こえたか言えなかった......どうして聞こえたか話したらこのイヤホンを没収されるのではないかと思ってしまったのだ、なのでユキの行動は一つ。











 「せんせー、トイレにいきたいです。もれそうです。」











 


 

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