第293話 初めての移動

 「はーい、みんなお着替えして準備出来たかなー」


 「「「「はーい」」」」


 「はいですー!」


 モルノスクール文化祭当日。

 前よりだいぶ大きくなったユキはパタパタと飛んで手をふりながら元気良く応えていた!

 大きくなったといっても身長はあまり伸びていない。


 元の世界なら小学生だ。


 「ユキちゃん、あまりハシャギすぎて怪我しないようにねー?」


 「はいですー!ユキ怪我は気を付けますです!」


 「じゃぁみんなペアの人と手を繋いでー?」


 それぞれ二人一組でペアを組む。

 当然ユキの相手は


 「よろしくね!ユキちゃん」


 「よろしくです!ミーちゃん!です!」


 ユキより少し年上の金髪の女の子、この二人は共通の目指すものがある事から何かと気が合うのでいつも遊んでいる。


 「せんせー!なんでミーちゃんとユキちゃんだけお洋服がちがうのー!」


 「ふたりともずるーい」


 ブーブーと他の子達も言ってる、子供と言うのは他と違うとその人のを欲しがるものだ。


 「こーらー、文句言わないのー。文句言う子はルクス先生に怒ってもらうわよー、はーい並んで行くよー」


 ブーブーまだ言ってるがドーロが子供達を並べてモグリ邸の門を出るとすぐに子供達の興味が移った。




 それもそのはず、ここの子供達にとって外の世界は特別なのだ。



 奴隷の為に産まれてすぐに親に売られた子供は初めての外の世界。


 いつの間にか親に売られ、奴隷の調教を受けた子供はすこし外の世界を恐がる。


 奴隷になる前、虐待を受けて片耳がない獣人は道行く獣人の二つの耳を羨ましそうにみる。


 そして、何より先生達も気が気ではなかった。


 「そこー、列からはみ出てるわよー」


 「おトイレはもう少し先よー」


 「こけた子居るの?ウマヅラー」


 先生達も初めて子供達を出しての大移動。

 子供達が心配で心配でしょうがないのだ。


 子供達の列をなんとかしながらやっとの思いでドーロ達はギルドに到着した。




 

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