第240話 人間嫌い!

 《世界樹 指令室》


 目の前まで来た山亀が大量の【土塔】により持ち上げられている。


 「見事じゃ、山亀を持ち上げ弱点である腹を撃ち抜く……【最終生命破壊砲】の準備はできておるか?」  


 「はい!10番隊から発車準備を完了の報告をうけております!」


 【最終生命破壊砲】は【零式対山亀砲】を人間共がいじってさらに強化された超大型魔法だ。

 今頃、10番隊の隊長が準備を完了して後は発車する魔皮紙に魔力を通すだけだろう。


 あの山亀に出てきた美しい獣人に【零式対山亀砲】を放ち、結界を貫通して直撃した瞬間、謎の現象が起こった。


 「モニターの方は?」


 「はい!全て回復しております!」


 指令室の映像が全て消えたのだ……その後、騎士達が早急に対応し、復旧したが、その頃にはどこにもあの美少女の姿は確認できなかった。


 しかし手応えはあった……殺せたはずだ。


 それならば、後は山亀を殺すだけ。



 そう……これを撃って終わりじゃ!



 「発射せよ!」



 「了解!10番隊!【最終生命破壊砲】発射!」


 {……}


 しかし、その魔法は発射されない。

 

 「どうした!10番隊隊長!」


 {私は、人間の手が加えられたこの魔法を発射したくありません!}


 「「「!?」」」


 一瞬で司令室が凍りついた。


 「な……何を言うておる!準備は出来たんじゃなかったのか!気でも狂ったか!」


 {女王様こそ!解ってるんですか!この魔法は人間が作り出したもの!これで山亀を倒せば人間の手柄のようなものですよ!それならば他の大型魔法でも!}


 「貴様と討論してる時間の余裕もない!この状況がわからんのか!愚か者がぁ!」


 産まれて初めて、脳の血管が切れるほど声を荒げた。


 {我ら10番隊元隊長「キング」さんは私を人間の人拐いから庇っていただき奴隷になりました!その人には大変お世話になり____}


 「黙れ!なんで今貴様の昔話に付き合わねばならぬ!」


 こいつは何を言っておる!?今そんな状況か!?


 {……解りました、では私達10番隊は今ここで反乱を起こします}









 「……は?」


 








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