第216話 ヒロユキパーティー!
「どうしましょうか、ヒロユキさん」
緊急警報が鳴った後、ヒロユキ達はとりあえず近くのたまこの家に行き、話し合っていた。
本来なら他国から旅行の名目で来ているヒロユキとユキはグリードに帰らなければいけないのだが……
「ご、ごめん、ミーが原因でこんな事になっちゃって……」
そう、ジュンパクがギルドを通してこの国に入ってなかったのである。
ジュンパクは元々ミクラルの海賊で、ミクラルの国以外は転移魔法が使えなくなっているのだ。
ここには海賊の知り合いの船に乗せてもらって来たのだが、現在は緊急事態のせいでその裏ルートが使えなくなっていた。
「……うーむ」
「【山亀】の緊急事態……いくらなんでも早すぎます」
「……早すぎる?」
「あ、えと、ですね」
ユキが説明しようとしたがたまこが割って入る。
「“動き出すのが”って事でしょ~?【山亀】は太古からのアヤカシで、伝説の勇者でも倒すことは出来なくて魔力を抜くことで動きを封じたのよ~、もし悪い人が動かそうとしても〜ダイヤ級の冒険者が100年くらい魔力を休みなしで送り続けないと起きないはずだったのよ〜」
「そうです!伝説の勇者がいつ眠らせたのかは解りませんが、研究者達によると後何万年は動かないはずだったのです」
「……そうか、確かに緊急事態だな」
「はい、緊急事態です」
「……なら問題ないな」
「流石アニキ!」
「まぁそう言うと思ってましたけどね」
「???、どう言う事〜?」
「たまこさん、要約するとヒロユキさんは“山亀を討伐しに行く”と言ったんです」
「問題ないってそう言う事〜?なんでみんなわかるの~……」
「ミーもミクラルで初めて会った時はそんな感じだったなぁ」
「では、お題としては」
ユキは魔皮紙を取り出し魔力を流すと、モニターが出てきてそこには“山亀討伐作戦”と書いてあった。
「……こんなものいつ買ったんだ」
「グリードに帰ったときにちょっと♪」
「と言うか行くの決定してたんだ〜?」
「この状況でヒロユキさんが行かない訳ありませんからね、こっそりと準備してました」
「もしも行かなかったら〜?」
「その時は私1人でも行ってました」
「……」
「ではさっそく作戦会議です!まず私が思うにアバレーの____」
ユキが伊達メガネを取り出して説明しようとした瞬間に玄関のドアがノックされた。
「む?誰ですかね?たまこさんの知り合いですか?」
「う〜ん、そうかも〜?」
たまこは玄関の方へ行って外の様子を確認する。
「なんか~、すごい怪しそうな人が来たんだけど~」
「怪しい人?」
次にユキがたまこと入れ替わりで外の様子を確認した瞬間____
「…………!?、い、居留守しましょう」
ユキの顔が青ざめた。
「ユキの姉貴?どうしたの?」
「静かにしてくださいジュンパク、その口を溶解して密着させますよ」
「ひど!?さっきまであんなに優しかったのに!」
そんな事を言いながらジュンパクも外の様子を確認すると__
「……居留守だね」
速攻で同じ意見になった。
「……誰?」
「なんか~ヤバい雰囲気で黒いトゲトゲした鎧を着てる人〜」
「……あぁ」
それを言われて1人、心当たりがあった。
「……」
「あ!ヒロユキさん開けたら!ダ____」
ヒロユキはユキの静止も聞かずに無言で玄関のドアを開ける。
すると____
「…………」
ドアの前には漆黒の鎧を来て禍々しいオーラを放っている『エス』の姿があった。
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アオイは焦っていた……
「や、やばい……緊急事態だ……」
アオイは全身の力が抜けて黒い薔薇の上に横になっている。
「これは……死ぬかもしれない」
そしてアオイはお腹に手を当てる……
「お腹すいた……」
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【山亀】到着するまで後5日。
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