第208話 アカネの交渉!
「私を匿ってください!」
この獣人……もしかして資料にあった勇者リュウトのパーティーメンバーか?確認しなければ!
「君の名前は?」
「私はアカネと言います!」
「勇者のパーティーメンバーだな?」
「え!?どうしてその事__」
そこまで聞くとアカネとは別に奥から気配が近づいて来た。
「____っ!と、とにかく隠れさせてください!」
了承を得る前に勝手にテントに入ってしまう。
「……」
何事も無かったかの様に座り、フードを被って【光源】の光を弱くする。
「……」
待っていると2人の獣人が暗闇の奥から現れた。
「失礼そこの冒険者の方、ここらで赤い髪の獣人を見ませんでしたか?」
「(この服装……アバレーの騎士か)」
アバレーの騎士の鎧は少し特殊で全員黒い着物の様な鎧をしている。
金がある国だからこそ、性能の良い鎧を下の兵士達にも貰えるのだろう……
「どうでしょうか、私はここにずっと居ましたがそれらしき者は見てませんね」
「そうですか」
テントの方を怪しんでいるが流石にそこまで詮索はしない様だ。
「もしも見つけたらこの魔皮紙にご連絡下さい」
「はい」
「では、私たちも急いでるので」
そう言って獣人2人は去っていった……
「獣人の中には人間嫌いも居る……もしも彼らがその手の輩なら最悪の場合戦闘になっていた可能性があった……この恩は大きい、嘘偽りなく答えてもらいますよ」
テントの中で聞いてるであろう獣人に聞こえる様に話すと中から出てくる。
「はい、まずは、匿って頂きありがとうございます」
「あなたを知らないわけじゃ無いですからね、追われていたのも何か理由があるんでしょう」
「それです、どうして私やリュウトさんの事を知ってるんですか?」
「私はグリードの代表騎士です、リュウトさんだけではなくヒロユキさんも情報を集めていますからね」
「グ、グリード代表騎士!?すごい……あれ?妹ちゃんは?」
「妹ちゃん?」
「えと、確かアオイって言う名前の子です、確かあの子も__」
「__彼女について知ってるのか!?」
「へ!?」
私はアカネの肩を掴む。
それもそうだ、今までまったく手がかりがなかった彼女の事を知っている人物なのだ。
私に取っては喉から手が出るほど欲しい情報。
しかし、私の反応を見てアカネは交渉をしてきた。
「知りたいのは妹ちゃんの事ですよね?その……助けてもらってこんな事言うのも何ですけど、私と交渉しません?」
「交渉?君はそんな条件を出せる状況じゃ無いのは解ってるだろう?」
先程、獣人にもらった警報の魔皮紙を見せる。
「も、もちろんそんな大層なことじゃありませんよ!私の条件はリュウトさんの所まで送ってもらう事です!」
「勇者の所へ?」
「はい、そこへ行くまでに時間もあります、移動時間に私の知ってる事を話すと言うのはどうでしょう?」
ふむ……良い考えだ。
此方も勇者リュウトに会った所でデメリットは無い。
何より一番知りたかった情報も手にはいる。
「良いだろう」
それから私はアカネさんからアオイがどうなっているかを聞いた。
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