第168話 動き出す物語!
《アバレー王国 世界樹》
「ようやく発表したか……」
真っ赤な長い髪を床に引きずりながら、そう呟くが二本はえてる猫の尻尾は機嫌が良さそうに左右に動いている。
「お母様、どうしました?」
その奥でつまらなさそうに頬をついてたずねる同じ赤い髪に二本の尻尾を持つ少女。
「姫、これを見てみよ」
映像を片手でつまらなさそうにしている娘へと飛ばす。
「これは……グリードの王が……変わる?」
「そうじゃ、次の王は妾と同じ女王、話があうといいがの」
「随分と余裕がありますねお母様、まるで“変わるのを知っていた”かの様に」
「さて、何のことやら」
「しかし、忙しくなりますね、新しい女王との挨拶や色々」
「そうじゃの、何も知らない女王と挨拶をしないといけないのぅ」
「?……それはどういう意味ですか?お母様」
「お前にはまだ早い話じゃよ、それよりまた世界樹から勝手に出ていって遊びにいったらしいの?」
「う……それは」
「お前はこの国の姫だ、いつ何時狙われるか分からん、もっと自覚をもつのじゃ」
「すいません……」
「それと____妾にまだ何か隠しておらぬか?」
「そんなことないですよ、私はお母様に隠し事なんてしません!」
「ほーう?……まあ良い」
「ふぅ……それにしても次のグリードの王はどの様な人なんでしょうね?」
「心配するな、近いうちにグリード王国は______」
「滅びるだろう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《アオイ家》
「……どうしよう、材料が滅びた……」
時刻はお昼過ぎ、前々からどうしようどうしようとは思ってたけどついに冷魔蔵庫の材料がつきた……
現在じいさんは昼寝してるしユキちゃんは外で遊んでる。
「うーん、買い出し行きたいけど僕ギルドカードないしな……相談するしかなさそう」
夜ご飯までには帰ってこれるといいけど……俺はじいさんをユサユサして起こし状況を説明した。
「ふむ、それは確かに困ったことじゃのぅ」
「すいません、もっと早くに相談をしてれば……」
「いや、こっちも任せっきりじゃったからの、何か買ってくる」
「ありがとうございます、僕もご一緒しますか?」
「いや、お前はここでユキを見ておいてくれ、この家の回りには魔物がうようよ居るからの、すこし複雑な道で街までいく」
「分かりました、ではお待ちしております」
「うむ、では支度してくる」
ふと改めて思ったがこのじいさん、見た目のわりに言われてみれば動きが全然衰えてない様に見える。
見た目はそこら辺にいる白髪のしわしわおじいちゃんなのだが、何というか身のこなしがおじいちゃんじゃない……そういやこの前お尻でおじいちゃんの杖倒した事あったけどめちゃくちゃ重たかったな。
一体このじいさんは何者なんだ?
「では、行ってくるかの」
「行ってらっしゃいませ」
支度を終えたじいさんはそういって扉を開けてでていった。
外ではユキちゃんが「じぃじいってらっしゃーい」って言ってるのが聞こえる。
「さて、と、じゃぁ掃除でもしようかな?」
片付けをして数10分くらい経った頃、ユキちゃんが帰ってきた。
「帰ったなら手を洗ってうがいするんだよー」
「あかぁさん、お客さんだよー」
「え?」
じいさんのお客さんかな?にしてもタイミング悪いな……ついさっき出ていったのに。
誰だろ?____ってえ!?
「ごきげんよう35番」
お客さんで来たのは奴隷の元請け……シルクハットを被った馴染みのあるマスターだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます