第29話 次の訓練!
「ヒーロースーケー!起きてってば〜!うーごーくーよー!」
ふぬぬぬぬ!駄目だコイツびくともしねぇ!
羽引っ張って何本か抜けてるのに爆睡してやがる!このまま全部剥いてしまうぞ!
「クォ……」
「あ、起き__」
「クォ……」
一瞬起きたと思ったら周りを見てまた寝落ちする……くそおおおおおお!
なんやかんやこんな感じで集合にかなり時間がかかってしまい。
「他の人……いない」
到着した時には時すでにお寿司……
下に車輪の付いた檻が用意されていて、その隣にいた看守が俺に気付いた。
「遅い!何してたんだ!お前が最後だ!他は次の訓練にいったぞ!」
「そ、そですか」
なんで看守の人ってこう怖いんだろ、俺は心が弱いから怖いの嫌だなぁ。
「はやく用意しろ、お前を襲えなくてイライラしてる奴は多いんだ!俺も含めてな、さっさと檻にはいれ!」
えぇ!?そっち!?
やばい!襲われないうちに檻の中へ逃げよう!
「あいあいさー!」
「クォ……」
何も分かってないヒロスケは俺が檻に入ったので同じ様に入ってくる。
中に入ったのを確認したら檻に大きな布を被せて外からも中からも見えない様にされた……こんなことするって事は、何かしら外が見られたくない理由があるのだろうか?
「ヒロスケおいで」
「クォ!」
「とりあえず次になにかあるまで睡眠タイムだね、さっきは起こしちゃったのごめんね?」
「クォ?」
「んーと、流石に言葉はわからないか……そういや、言葉と言えばこの世界に英語とかあるのかな?」
グレートフルスタルシティと言ってたけど意味なく?とか?
「英語あったとしたらどうしよ……苦手なんだよなぁ、いや、よくよく考えたら英語以外も苦手だ」
好きな教科?あぁ、体育だよ。
……得意とは言ってない。
「クォー?」
「こっちの話だよ気にしないで?ねよねよ」
寝るときはこのヒロスケ布団で寝てる。
獣臭いは仕方なしだがフワフワしていて気持ちいいのだ、これが天然の羽毛布団!な〜んてね!
____しかし、俺達に寝る時間などなく檻に入って10分そこらで到着した。
「おい降りろ!」
「んぇ!?はや!」
「クォ!?」
「降りろって言ってるだろ!」
「は、はひ!す、すいませ____さむっ!」
檻を出ると山のてっぺんが白く雪が積もっている高い山のふもとだった。
「ここって……外!?」
「そうだ、それとこれはマスターからの手紙だ」
そういうと、元いた世界で言うところの羊皮紙……○リーポッターで出てくるようなあの布みたいな紙が空中に浮いて口の形になり喋りだした。
{ここではこの【魔法紙】が今までの放送の代わりになります、なのでこの紙は忘れないようにね、君たちの服にはポケットがないから色々と工夫するといい……さて、今回の訓練の目的だが山頂にある『メルキノコ』をとってきてほしい、それだけだ。魔法も場所が場所だからね、使えるようになっている}
魔法使えるって……元から使えないんですけど!?それに!
「こんな格好でどうしろと!?寒いんだけど!?そのキノコの特徴は!?」
{それと、逃げても無駄ですよ、あなた方奴隷にかけた呪いは逃げれないようになる呪いもかけておりますので……では、良い登山を!}
オール無視!?
きっと手紙なので読まれてるだけなのだろう。
元の【魔皮紙】という物に戻って地面に力なく落ちる。
えぇ……
「あ、あの……看守さ__」
いつの間にか看守も居なくなって閑古鳥が泣いてる幻聴が聞こえた……
「へっくち!」
さ、さむい……くそ!凍死するってこれ!
とりあえずヒロスケにくっついとこう。
「クォ!」
ヒロスケあったかーい。
さて、まずは状況整理しよう。
1 看守はいつの間にかいない。
2 現在服はボロボロのみすぼらしい、ホームレスが着ているような布切れを被ったようなもの。
3 逃げようとしても無駄。
4 魔法は一生使いたく無い様な魅了だけ
5 飲食料がない
「詰んだ……死相が見えるよヒロスケ……」
「クォー」
「えーい!くよくよしても仕方ない!ここは普通の山なのかな?」
もし普通の山なら何かしら人がいるはず……とりあえずその人達に情報を色々と聞いてあわよくば事情を話して一緒に取りに行ってもらおう……
普通の山じゃなくて魔物とかウロウロしてる山だったら……うぅ、考えるのはやめよ。
「まずは寝床の確保か……」
うーん、火が起こせればなぁ。
それさえ出来れば寒さをしのげて次のステップにいけそうなのに……
「ヒロスケ、動物的本能で周りにみんなが居るか解らない?」
一応ライオンさんもゴリさんのベルドリも元を辿ればヒロスケの家族だ……なんかどこかに居るとか分かんないかな?
「クォ?」
あ、だめだ、なにも解ってない顔してる。
ま、まぁなんだかんだ言って兄弟達だから近くに居たら不思議な運命で惹かれ合うだろう……きっとね……
「とりあえず最初の一歩を踏み出さないと進まないか!」
「クォ!」
俺は寒い寒い山道を歩き出した。
「へっくち!」
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