第7話 クバル村!

  __《クバル村》__


 「ほーらユキちゃん♪いないいないばぁ~」


 時刻はお昼過ぎ、自分の娘のお昼寝の時間。


 キールの妻、【エリコ】はお昼寝の時間になっても泣き止まない娘をあやしていた。


 「もう、家事がまだあるのに、はぁ……あの人が居てくれれば助かるのにぃ」


 そう言って何年も帰ってきてない夫の事を考える。


 「でも、あの人の方が寂しいわよね……娘にさえ会えないんだから」


 そんな境遇を可哀想と思ってか、エリコは村のみんなに慕われていた。


 「そう言えば、昨日、隣のおばさんからウーリーシャークを貰ったけど……美味しかったなぁ」


 ウーリーシャークはこの辺りの川に生息する魚類の魔物だ。

 

 大人になると二メートルとでかくなり性格は凶暴だが、子供の頃は30㎝くらいで人も襲わなく、臆病であるため、食用に向いている。


 「キールもウーリーシャークのお刺身好きだったなぁ」


 夫の事を思うと胸が苦しくなってきた。

 

 「だめだめ、私がしっかりしないと」


 ぱんぱんっと自分のほっぺを叩いた後、娘を寝かしつけ外へ……向かった先は____





 「こんにちは、神父さん♪」




 「これはこれはエリコさん」



 クバル村、教会だった。




 「今日も神にお祈りですか?」


 「はい♪」


 「では此方へどうぞ、神はいつも私達を見てくれています」


 神父は教会のお祈り部屋の扉を開ける。


 その部屋はあまり広くなく、神様と思われる銅像の前に魔法陣があるだけだ。


 「では、お祈りください」


 エリコが入り、扉が閉められる。


 「……」


 魔法陣の上に乗って手を握り、祈りを捧げる__


 __キールが安全で無事で有り続ける様に。

 __ユキがすくすく育ちます様に。

 


 「__私達家族が、幸せでありますように」





 祈る……家族の安全を……



 それに呼応する様に魔法陣は赤く光を放ち……






 「フォッフォッフォッ、エリコ殿……どうですかな?」


 「……」


 神父は反応のないエリコの胸を揉むが、目は虚になっていて反応はない。


 「ばっちり効いておられますな」


 手を離して神父は通信をとった。










 















 「サクラ女王、代表騎士キール様の妻、エリコの洗脳に成功しました」






 


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