第四十一回 ……でも、僕は、


 ――ボクッ娘。一人称は『僕』……喋り方まで男の子。興味のあるもの、やることなすことまで、まるで男の子。とても、……とてもマリさんみたいになれない。



 マリさんが、あまりにも素敵な女性だから。――僕は皆迄みなまで打ち明けた。まあまあ、それはそれは、とても恥ずかしく顔面ファイヤー。すぐさま俯く。素早い反応で可奈かなが「そんなことなよ」とフォローしてくれるのだけど、……その後の言葉へ繋がらない。


 それは矛盾しているようだけど、

 眩い日差しのように差し込む魔、または脳を支配するコンプレックスだけど、


 なら、自信あるの?


 僕にマリさんのような、乙女な女の子を演じることができる?



 ――すると何処どこかから、この近くから、ヌッと目と鼻の先で、

 早坂はやさか部長を改め名字ではなく名前で『海斗かいと部長』と、舞台のバックとなりうる大道具を制作。どちらもイケメン、カッコいいとキュートのタイプ二種。一人称が俺と僕で、僕と同じ僕の方の海斗部長は、キュートな方だ。身長も高等部三年生では小柄、百六十センチほどだ。対する未来みらいさんは百七十センチ強ありそうだ。……塗装も施している。



 わあ! いいなあ。


 本来、僕はこっちの方が好き。人前で、舞台に立つだけでも苦手なのに……断然こっちの方がいい。てっきりこちらの、大道具の担当になるものと思っていたのだけど……。


 でも、裏方ではなく表方?


 応援の立場だから、あり得ないと思っていた主役の座。……どうしよう。


 いきなりだ。かつてのマリさんと同じ大役だ。――やだやだ、今更だけど、泣きそうなほど怖い! するとポンポンと、……優しく肩を叩く人物あり。


――「大丈夫よ」と、魔法のようなマリさんの言葉、そしてスマイルだった。



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