第4話 ゲームとはなんだ。
──ブゴォフ
なんですか、鼻息が荒いですよ
──ブゴォフ
ちょっと、もう少し静かにしてくださいよ。鼻息が顔にあたって、前髪がさらさらと鼻付近をうろちょろするのでくすぐったいんです。
──ブゴォフ
いい加減、直してくださいよ────
「──って、うおっ!?」
私は目を覚まし、勢いよく起き上がった。目の前には、全長五メートルの猪のような生き物がいた。牙は小さく、けれど強そうな感じだ。
「えっとぉ……」
モンスター、だよね? どんなところに飛ばされたのよ、私。と、とりあえず、逃げる?
──ブゴォフ
鼻息荒いねぇ。あの鼻息がずぅーと私の顔にあたっていたの……シャワー浴びたい。
さて、どうしたものか。あ、鑑定してみよう。
鑑定[ファンウルフ Lv5]
『鑑定』のレベルが低すぎなんですね。それにしても、レベル5ですか。レベル0の私からすれば強いのですが……。あ、でも、私、攻撃力が3900なんですよね。なら、問題ないですかね。よし、いっちょやってみましょう。
──ブゴォフ、ブフォー!!
私の戦意を感じ取ったのか、勢いよく突進してくるファンウルフ。さあ、きてください。私のパンチであなたを粉砕してあげます。
「ふっ──」
右のストレートを相手の顔面目掛けて撃つ。ファンウルフは、大きいため、私の体がちょうど頭に当たるように調整している。つまり、頭が下がっているということだ。
数秒後、ファンウルフの頭と私の右手拳が交わる──
バキリ─────────グチョニェリャァァァアアア!!
嫌な音がした。
ファンウルフの頭と私の拳が衝突したとき、ファンウルフの頭蓋骨が割れ、引き裂かれるようにして左右後方へ飛んでいった。そう、体の真ん中を拳でぶち抜き、斬るようにして裂いたのだった。
最後の嫌な音は、肉が裂けた音と血渋きの音だ。うわっ、体全体が血だらけだぁ。うぇん、シャワーないのぉ!?
というか、ただのパンチなのに威力半端ないんですけど。
〈ドロップアイテム/ファンウルフのもも肉×1〉
〈種族レベルがあがりました。(Lv0→Lv2)〉
〈STP5ポイント、SP5ポイント獲得しました〉
〈スキルスロットが2増えました〉
〈スキル『攻撃力アップ』がレベル3になりました〉
〈スキル『殴打』がレベル5になりました〉
〈モンスタースキル『魔の力』がレベル2になりました〉
〈モンスタースキル『物理攻撃緩和』がレベル2になりました〉
〈称号≪一撃必殺≫を獲得しました〉
〈称号≪強者討ち≫を獲得しました〉
〈称号≪残酷≫を獲得しました〉
〈称号≪拳技≫を獲得しました〉
〈称号≪拳技≫がスキル『殴打』と統合できます〉
〈ボーナス獲得。スキル『奇人』を獲得しました〉
〈ボーナス獲得。称号≪
〈運営からのプレゼントが届いております〉
すごいログだ。
レベルあがるのはやいと思うんだけど。1を飛ばして2になったよ。ポイントも5も貰ったし。早くもスキルスロットが2も増えたし。というか、称号、何とかならないんですか! ≪一撃必殺≫とかはいいですけど、≪残酷≫はないでしょう。それと、ボーナスってなんのボーナスでしょう? 『奇人』って、私のことですか。そういうことですよね。
さて、運営さんからプレゼントがきてるらしいので、そちらを見ましょう。
ステータスウィンドウ、と念じると操作パネルが出てきた。手紙マークのアイコンをタップすると一件メールが来ていた。それをタップする。
メールには、こう書いてあった。エルファーはレアキャラで、私一人しかなれないこと。他種族と同様、進化ができること。転移した場所がバグにより、大幅にずれたこと。それにより、本来手に入れるはずだった装備品を取れないため、お詫びのアイテムと贈ること。
贈られてきたのは、以下のものだ。
【黒ノ織舞姫一式】
【
【HP回復ポーション<赤>×50】
【MP回復ポーション<赤>×50】
【お弁当×3】
【水筒<五リットル>】
【お金エソ<50万エソ>】
【称号≪奇人種の
黒ノ織舞姫はドレス装備、紅鬼刀殴器はガントレットらしい。早速装着してみよう。装着するのは一瞬で完了する。
……む。これじゃあ、鏡がないから自分の姿見れないよ……というわけでステータスウィンドウを操作する。なんだ、見れるじゃん。アバター管理のアイコンをタップすると、私のアバターのステータスが確認できる。その数字やスキルの右のほうに、私の立ち姿があった。
……黒いね。いや、ガントレットだけ不自然に赤い。〝紅〟って名前についているのだから当たり前か。
黒ノ織舞姫は、ドレスだ。これは……
「Vネックハイスリットボディコンタイトロングドレスでしょうか」
黒いです。胸元が大きくV字にあいているので、上乳と谷間が丸見えです。袖がないなく、余計に露出が凄いです。黒のロングローブをしているので大丈夫かと思いましたが、余計にエロさが出たような……。そのローブの上にガントレットを着けています。そこだけ不自然ですね。色が違う。スカートはフルスリットなので、動きやすく、派手な戦闘をしてもだいじょぶそうです。靴は、黒のハイヒール。これが厄介なんですよね。リアルだと、思いっきり走れませんよ。ゲームなら補正されているとは思いますけど。そうでなくては、ある意味がないですからね。ファッションとしてある、という場合もありますが、私がこれを獲得するのは必然だったわけなので、それはないでしょう。
細かい確認は、後で見ることにして、セーフティーゾーンがどこかにないかな。こういうときにマップ昨日があって助かる。
ありました。建物がセーフティーゾーンのようです。ここから三時の方向に五百メートル先ですね。
しかし、ここはどこなんでしょう。マップにはここの地図があるだけで、十キロ圏内には、街が見当たりません。
とりあえず、辺りを散策しつつ、その建物に向かうことにしよう。
ここはどうやら、森のようです。一つ一つの木が大木。地面には、見たこともない植物が生えている。
現在、ゲーム内時間で二時過ぎだ。夜までには、寝れるところを確保しなければならない。
とりあえず、リアル時間で一週間はこっちにいる予定なので、気楽に行こう。
さて、歩くのはいいけれど、それだけでは暇すぎる。なので、スキルレベルをあげていくことにする。
手っ取り早いのは、鑑定。鑑定を発動させながら歩くだけ。情報は、機械が処理してくれるので、脳に負担はかからない。ゲームって、ちょーいい。
鑑定[モルウッド:木]
鑑定[モルウッド:木]
鑑定[モルウッド:木]
〈スキル『鑑定』がレベル3になりました〉
鑑定[リーリス Lv1:よくみられる一般的なリス。適正はない。動物。]
鑑定[麻:生産材料。]
〈スキル『鑑定』がレベル6になりました〉
レベルが3づつあがっているのは、偶々なのでしょうか。やはり、自分のステータスはきちんと見ておかなければいけませんね。
鑑定[バナハナ:黄色い花。贈り物としてよく扱われる。]
鑑定[草:ただの草。雑草。食べようと思えば食べられなくもない]
〈スキル『鑑定』がレベル7になりました〉
レベルあがるのはやいと思うんですけど。なんか、怖い。
──ブゴォフ
ん?何かが聴こえた。どこかで聴いたような……あ。『気配察知』で何かを感じた。何かがいるのだろう。案の定、そこにはあいつがいた。
〈スキル『気配察知』がレベル2になりました〉
それはあとにしてほしいものですが。
──ブゴォフ
鑑定[ファンウルフ Lv6:科/ウルフ
HP:100/100
スキル『猛突進』:猛突進すると攻撃力がアッ
プする。
ウルフの成れの果てと言っても過言ではない。
ウルフとはかけ離れた、穢れ。没落者。]
──ファンウルフがそこにいた。さっきよりもレベルが一つ上だ。
「って、ウルフ科!?」
私は驚きの声をあげた。え、なに。ウルフなの? ウルフの欠片もない。あ、でも、名前にはウルフってついてる。
であってしまったんじゃしょうがないなぁ。私は、戦闘を開始した。
「ぉお。幽霊屋敷にしか見えないよ……」
私の目の前には、セーフティゾーンなのか怪しいお屋敷が建っていた。
然程時間もかけず、目的地に到着したのだけれど……もう一度言おう。セーフティゾーンなのか怪しい。
「そうは言っても、周りには建物がこれしかないし」
マップは、この森のものしかなく、他のところがまっさらだったのだ。クエストをこなしていったりすれば、そのところが空くのだろう。
覚悟を決めて中に入る。
ドアノブに手をかけて──
──ズッ……バキッ、ガラガシャァァァアアアン
──ドアが崩れた。ま、入ることにはかわりないし、いいよね。私のせいではない。もし、この建物が誰かの所有物だとしても、お咎め無しでお願いしたいな。
「お邪魔しまーす」
パキリ、とガラスを踏んだ。結構ボロボロだ。二階上ろうとしたら階段崩れました、なんてのは勘弁なので行かない。気が変わったら行くとしよう。
『ッファ──ガガガァァアア』
「うおっ!?」
何かが襲いかかってきたので、反射的にストレートを叩き込んだ。姿勢を立て直し、後方へ下がる。
『ッファ──ガガガァァアア』
その正体は、ゾンビだった。
ここ、セーフティゾーンじゃないの!? ゾンビいるじゃない!
鑑定をしてみる。
鑑定[ゾンビ Lv10:下級ゾンビ]
ゾンビで間違いない。のだけど、レベル高いなぁ、ゾンビのくせに。しかも、これで下級なんだから強すぎるよ。ファンウルフよりも強い。鑑定も詳細まで表示されていないし、倒し方がわからない。
ゾンビは不死だ。けれどそれは、ゲームによって異なる。不死とは言っているが、倒すことができる。そうでなければ、クソゲーだ。そのため、倒すことはできると予想はできる。だが、相性に問題がある。ゲームによって、物理攻撃耐性があるものや魔法攻撃耐性があるものもいる。敵のレベルを自分のレベルが越えていれば、相性を考えなくても大丈夫だと思う。けれど、私は目の前にいるゾンビよりレベルが低い。さて、どうしたものか──
『ッファ──ガガガァァアア』
ゾンビが襲いかかってきた。とっさに躱そうとするが、間に合わない──と思ったけれど、回避できた。ゾンビは、そのまま勢いを殺さず、自分の攻撃で転倒した。そういえば、スキルで『回避率』というものがあったんだった。
〈スキル『回避率』がレベル3になりました〉
お、レベルがあがった。やっぱりおかしいよね。レベルあがるのが早すぎる。
さて、どうやらゾンビが立ち上がったようだ。今思い出したけれど、私のステータス、異常だったんだった。基準がわからないけれど、レベル5のファンウルフをレベル0の時に倒したのだから、このゾンビだって倒せるだろう。
ゾンビが先と同じ攻撃を繰り出してきた。腕を振り回しているが、ただの突進だ。しかも、前に重心がいっているため、かなりのスピードが出ている。
そのゾンビに正面からパンチを繰り出す。顔面にクリティカルヒットした拳が嫌な音とともにゾンビの頭を爆散させた。首から溢れた血飛沫が私の体に降り注ぐ。腐った肉がドロリと地面に落ちた。
……うん、再生してこない。完全に死んでる。
〈ドロップアイテム/ゾンビの腐った腕×2〉
〈種族レベルがあがりました。(Lv4→Lv7)〉
〈STP6ポイント,SP6ポイントを獲得しました〉
〈スキル『攻撃力アップ』がレベル4になりました〉
〈スキル『殴打』がレベル6になりました〉
〈モンスタースキル『魔の力』がレベル3になりました〉
〈スキル『再生』を獲得しました〉
お、スキルゲット。『再生』かぁ。レアスキルじゃないかな。
『再生 Lv1』:プレイヤーの損傷箇所を治す
再生率:十パーセント
どうやら、HPは回復しないみたいだ。多分だけど、このスキルの需要が高いのはゾンビだと思う。ゾンビから出てきたし。
よし、中に入ろう。気を取り直して、そろりと中に入った。
中は暗く、しかし、空いた穴から光があちらこちらから入ってきている。
建物内って、マップ出るのかな。試しに開いてみた。【怪しげなお屋敷】という蘭があったのでタップする。すると、この建物の内部と及ぼしきマップが出てきた。
「って、セーフティゾーン、この建物の一ヶ所だけじゃん」
セーフティゾーンは、赤く表示されるのですが、その場所がこの建物内のリビングのみだったのです。
「えっと、リビングは、入って左手のほうにある……」
マップを見ながら、リビングへ向かっていると、何か気配を察知した。背後からだ。数はわからないけれど、『気配察知』は使えるスキルだね。
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
後ろを振り向きつつ交代する。敵はゾンビ5体。『鑑定』発動──
[ゾンビ Lv5
クラス/下級
HP:100/100]
[ゾンビ Lv8
クラス/下級
HP:130/130]
[ゾンビ Lv10
クラス/中級
HP:200/200
スキル/『腐蝕』]
[ゾンビ Lv10
HP:250/250
クラス/中級
スキル/『殴打』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
案外強い。しかも、スキル持ちがいる。
ハイゾンビかぁ。凄くグジュグジュしてる。腐りすぎだよ。レベルが高いからなのか、HPや多分あるであろうスキルが見えない。
さてと、この人(?)たちを片付けてセーフティゾーンに向かうとしよう。
初撃は、ゾンビの方からだった。下級ゾンビが襲いかかってくる。それを正面から殴って顔面を爆散させる。
『ッファ──ガガガァァアア!!!!!!!』
ハイゾンビが叫んだ。すると、他三体のゾンビが三方に別れ、私を囲んだ。これを好機とみなしたのか、三体が襲いかかってくる。
『────ギャァァァアアア!!!』
下級ゾンビを先に絶滅させ、あいたとこらから離脱する。とっさの行動だったので、あまり距離を稼げず、中級ゾンビに捕まった。左腕に装備しているガントレットを捕まれたのだ。
──プシュゥ
ガントレットが捕まれているところから溶け始めた。スキル『腐蝕』の効果が溶かすことなのだろう。これは厄介だ。
右足を軸にして右回転をする。ゾンビは手を離し、飛ばされるのを回避した。……知能が優れている? ゾンビは基本、知能がない。ただの動く屍なので、体の機能は一切動いていない。つまり、脳がないということだ。ゾンビの行動パターンは、生物がいたら襲う、というものだ。血の匂いに誘われ、ただ喰らいつくのみ。それしかできない、と言ってもいい。にもかかわらず、このゾンビには確かな知能がある。中級クラスだからなのか。
「あーあ、ガントレットちょっと溶けちゃった」
すぐに離したからそこまでではなかったけど、ドロリと溶けているのがわかる。
装備品には、耐久値というものが存在する。詳しく見ていないからわからないけど、それほど減ってはいないだろう。耐久値が減っても、壊れていなければ、修復して元に戻すことができる。
修復は、スキル『鍛冶』の効果の一つだ。スキルの中に内部スキルインスキルというものが存在する。つまりは、アビリティである。このゲームでは、アビリティではなくインスキルという名前らしい。詳しくはわからないけれど、格闘技でもいろいろあるように『鍛冶』や『剣術』などにもそれがあるというわけだ。
溶けかけのガントレットをそのままにし、残りのゾンビを見る。残り三体。ごりごり押しまくれば行けると思うけど、ハイゾンビがどうな敵なのかがわからない。STRは高いけど、レベルが低い。スキル『殴打』もまだまだ低い。ま、とにかく、すぐに終わらせよう。インスキルは、特定レベルで獲得できる。ならば、殴りまくれば、レベルがあがってインスキルを手に入れられる。
「では、お三方。手加減は無用です。完膚なきまでに打ちのめしてあげましょう」
私は、そう言い放った。
最初に動いたのは私。下級ゾンビをワンパンで仕留める。
〈スキル『殴打』がレベル10になにました〉
〈特定条件をクリアしたため、スキル『殴打』が『殴激』へ進化しました〉
〈スキル『殴激』からインスキル『殴打』を獲得しました〉
よし、ここに来るまでにファンウルフと戦ってきたからそろそろだとは思ったけど、今きたんだ。それに、インスキルを手に入れられた。
『────ギャァァァアアア』
中級ゾンビが襲いかかってくる。横にステップし、ゾンビのお腹にパンチを喰らわす。穴が空くようにしてお腹が消滅し、上半半身と下半身がバラバラになった。
残るは、ハイゾンビのみ。得体が知れないから、どうしたものか。と考えた結果、ハイゾンビに『鑑定』をたくさんすることにした。
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級]
〈スキル『鑑定』がレベル10になりました〉
ハイゾンビが襲いかかってきた。それを回避しながら、鑑定を続ける。
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
よし、HPとスキルが見えた。これで倒せるけど、もう少し、鑑定をしよう。
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
[ハイゾンビ Lv21
クラス/上級
HP:303/303
スキル/『統括者』『腐愉快』]
〈スキル『鑑定』がレベル11になりました〉
このくらいでいいか。飽きたし、早くステータスを確認したいし。
『統括者』は危険視しなくてもいいと思う。気になるのは、『腐愉快』というスキルだ。『腐蝕』は意味はわかるけど、『腐愉快』ってなによ? またガントレットを溶かされちゃ堪らない。それに、ドレスを溶かされるのも避けたいところだけど。ゾンビのスキルなのだから、溶かす感じのスキルだとは思う。ただ、それがどういうものかがわからない。──と。
〈紅鬼刀殴器ガイアスの修復が完了しました〉
なに? どういうことでしょう。ガントレットが修復された? 先に『腐蝕』で溶かされたところを修復したのでしょうか。気になりますが、あとで確認しましょう。ハイゾンビを倒さなければ。
私の方が一瞬速かった。先に詰め寄った私は、手刀でゾンビの首をを跳ねた。ぐちゅり、と音がした瞬間、頭がなくなった首の断面から血が飛び散る。真上に噴出された血は、雨のように私を濡らしていく──赤い色で。
そのとき私は、ガックリしていた。ハイゾンビなのだから、この程度では倒せないと思っていたからだ。しかしどうだ。このように首なしゾンビが横たわっているではありませんか。
しばしその死体の死体を眺めた。
「さて、セーフティゾーンに向かうとしよう──」
と。ここで気配を感じた。今かつて感じたことのない気配。人間の気配でもなく、ゾンビでもなく、モンスターでもない。そして、殺気を放っているのでもない何か。それが、セーフティゾーンであるリビングにいる。
確かめれずにはいられなかった。だから走る。慎重にしかし素早く。この感覚は、未知の世界だった。いや、既に経験しているはずだ。己が師匠、その気配同一のもの。
「師匠がいるのですか──」
その考えは捨てた。何せ、父が亡くなる少し前に亡くなったからだ。だから、ゲームなどやっているはずもなく。はたまた師匠が、このようなものに手をつけるわけもなく。
どうにも気になって仕方がない。そうこれは──
「──恐れている──」
そう感じているのだろう。情けない話、師匠の〝気〟には、足も手も出なかった。今でもそうだろう。あれを乗り越えれば、師匠の言う、『天の徒使とし』とやらになれるのだろうか。
そうこう考えているうちにリビング前に着いた。
このドアの向こうにいる。そう思うと、足も手も動かない。
「入らぬのか」
震えている手をどうにか抑えようとしていると、ドアの向こうから女性の声が聴こえてきた。はて、誰なのだろうか。
「入らぬのならばそれでよいが、しかし、おまえさまにとってはそれでよいのかの?」
挑発するように、そう言った。それをきいて、覚悟した。
「い、いえ、入らせていただきます」
言って、のぶに手をかけた──と。ひとりでにドアが動いた。驚きはしたものの、ゲームなのだからそういうこともあると思い、深く考えなかった。
リビングに入ると、そこにはテーブルの一つもなく、空っぽ同然の部屋だった。変わっていることと言えば、そこは、他の場所とは比べ物にならないくらいに整備されていることだ。
「おまえさま、こっちじゃ」
声がする方を向く──
「──天井で胡座かいて何しておられるのでしょうか」
幼女が、天井に逆さまになって胡座をかいていた。どうやっているのよ、ほんとに。ゲーム内だからできるの?
「たわけ。そんなわけなかろうに」
ならばどうして、と問いかけようとしたが、その前に先方が答えた。
「これは、童個人の力量じゃ」
とは言っても、人間にそんなこと、できるわけないでしょう。
「おまえさまよ……それを言ってはならぬと思うがの」
「どういうことです」
「詳しくはあとで話すが──魔眼なんぞ、人間が手にできる代物ではないぞ」
それを聞いて、目の前にいる幼女が何者かを考えた。なにせ、この魔眼のことを知っているのは、師匠と父親のみだからだ。
「詮索するのはあとじゃ。この結界もそろそろきれるのでな。穢れどもがうようよ来るぞ」
パリンッ──
ガラスが割れるような音が響いた。それが合図だったかのように、
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
『ッファ──ガガガァァアア』
ゾンビが湧き出てきた。
「きもっ!」
それを見て初めに出た言葉がそれだった。いやほんとにキモい。気持ち悪すぎて吐きそう。
「吐きそうなのは、穢れの〝気〟を浴びているからじゃろ」
穢れの〝気〟……。感じるのよ、私。目を閉じて、全集中。暗闇を思い浮かべて。
──そこにはなにもなく。
──そこにはなにかがある。
──時間の流れはなく。
──時間の流れはある。
──空間が消え
──空間が現れ
──粉が舞うように
──塵が舞うように
──黒き果ての
──輝こうき果てを覗く
「────」
ぽつりと。
「うむ、越えたか」
幼女は言った。ならばと。それを掴め。
「第九百天万華乱! ──極滅拳ッ!!」
空間が──赤く染まった。
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