私の特殊能力、それは「骸骨と会話ができること」

胡志明(ホーチミン)

第1話 まえがき

 もし人間が「骸骨との会話」ができたとしたらどうなるだろうか?


 もちろん骸骨というからには、すでに死んだ人間のものである。


 すなわち「骸骨と会話ができる」という事はイコール「すでに死んだ人間と会話ができる」と言うことになる。


 この物語は陸上自衛官である主人公の鬼頭 勝(きとう まさる)が訓練中に偶然にも発生した事故による特殊条件によって潜在的に彼が持っていた「骸骨と話ができると言う能力」を偶然に見つけた事を発端としている。


 当然その能力を、本人はもとより周りの自衛官の上司や、迷宮入り寸前の捜査を追いかけている警察官たちも、にわかには信じられなかったのであるが、実際に専門家たちの立会いで「骸骨と会話をする」と言う検証を行った。


 その結果からは、驚くことに犯人か「亡くなった本人」しか知り得ない情報が多数出てきたので関係者一同、非科学的ではあるが信じざるをえなくなったのである。


 このことにより日本中の警察官たちは今まで抱えてきた迷宮入りの案件を、すがる思いで骸骨を携えて鬼頭氏にお願いすることになる。


 実際にはこんな荒唐無稽な事は無いのであろうが、もし本当に人間が「骸骨と会話ができた」なら非常に捜査がはかどるであろうし、これからの世の中はまさに「死人に口無し」と言うことがなくなる。


 その結果、世界中で犯罪の抑止となるであろうとの思いで筆をとった次第である。


 最後までお付き合い下さい。


 ※


 なお、ストーリーは全てフィクションであり「登場人物等」は架空名を使っています。


 ストーリーに出てくる旧軍隊、自衛隊の組織及び行動、指揮命令系統、訓練の内容、兵器の名称等は旧軍隊に関連した書籍と、先輩の体験談から得た知識で書いているので、警察官の行動共々、現実と違う事も多々あると思います。ご了承ください。


「公共施設と著名な建物及び歴史上の行事等」はそのまま使用していますが、小説を書く目的以外何の意図もありません。


 各自治体皆様のご理解をお願い申し上げる次第でございます。


 人間は生まれつき、誰にも察知できない運命があり、ここに登場する「鬼頭 勝」もその一人で、自衛官を志した故に恐怖と数奇な運命を体験する事となりました。

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