25編

麗華の捜索をするために私達は

再び未来の世界に来ていた。


「胡桃ちゃん、麗華ちゃんが

居そうな場所の当てはあるの?」

「んー。麗華が寄るとしたら、

自分の家か未来の私達の元とか?」

「そもそも過去の世界でも俺達の存在が

見当たらなかったのに、未来の世界に

俺達は居るのか?」

雷太の意見はもっともだ。


「でも、お父さんもお母さんも

小さい頃の私達が存在するって事は

言ってたし、たまたま

会わなかっただけじゃない?」

「そんなもんかねぇ。

とりあえず麗華の家に

行ってみるか。」


まずは雷太の提案で麗華の家を訪ねた。

庭先を見ると麗華のご両親が

カフェテーブルで歓談していた。


「すいませーん!

お尋ねしたい事があるのですが、

今お時間よろしいでしょうか?」

「あら。貴方達、どこかで

見たことある顔ね。

尋ねたい事って何かしら?」

「麗華を見ませんでしたか?」

「麗華ちゃんの知り合いかしら?

麗華ちゃんならこのお屋敷からもう

巣立って行ったわよ。」

今聞きたいのは

そっちの麗華じゃない。


「すいません。

麗華と言うよりは高校生位の

女の子見ませんでしたか?」

「あら、勘違いしてごめんなさいね。

さっきふと目をやると

お屋敷の門の前に女の子らしき

人影が見えたわよ。

すぐに居なくなったけど。」

(麗華だ!間違いない。)


「その女の子って

どちらに行きました?」

「男の人と話してたみたいだけど、

話し終えたら目的があるみたいに

どこかへ向かって行ったわ。」

(男の人?誰だろう…。知り合いかな。)

「ありがとうございました。

もう少し探してみます。」

「こちらこそあまりお役に立てなくて

ごめんなさいね。

見つかるといいわね。」

私達は麗華の家を後にした。


「胡桃、ここには麗華は来てたが

今は居なかった。

次行く当てはあるのか?」

「正直言って確信は無いけど、

一緒に居た男の人が

私達の知り合いのような気がする。

もう少し探してみようか。」


(私達の知り合いの

男の人ってもしかして…。)

そんな不確かな考えを持ちながら、

再び麗華探索へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る