異世界(3)
「気が付きましたか?」
「こ……ここは……?」
そこに居たのは、仲間の巫女サマラによく似た女性だった。いや……一度会った事が有る。
「き……君は確か……」
「貴方と共に旅をしたサマラの妹アグネスです。全く……姉様と、姉様のあの美しく可愛らしく素敵なお友達の皆様は死んだのに、貴方みたいな女たらしの糞野郎だけ生き残るなんて……」
「い……今なんて……それに……それに……」
ムズリ……。
仲間が死んだと聞いたのに、何故か……何かが……おかしい……体も心も……。
「貴方の仲間は、魔将軍に皆殺しにされました。ですが、残念ながら、魔将軍が使った禁呪が時間切れになったせいで、魔将軍は消滅し、貴方だけは助かりました。貴方だけ死ねば良かったのに……」
「い……いや、ちょっと待ってくれ、疑問がいくつも有る。え〜っと、まずは……」
「まず、私の股間のモノですか? これは、神々が地上に残した『神の肉体の欠片』の1つ『淫神の肉棒』です。魔物と戦う為と、姉様と結ばれる為に、私自身の体に移植しましたが、貴方のせいで姉様は死にました。この役立たずが」
「ええええ……」
最初の説明の時点で色々と頭が付いていけない。
「続いて、貴方の体と心に起きてる変化ですが、人間と性欲と生殖機能を操作する能力が有る『淫神の肉棒』の力を使って、貴方に呪いをかけました。まずは、姉様達を守れなかった役立たずな貴方に相応しく、貴方の股間のモノを『役勃たず』にさせてもらいました。次に、貴方の性欲を5倍にしました。貴方は今後、性欲の虜となりながら、イく事は出来なくなりました」
「待てぇッ‼」
「次に、私の『淫神の肉棒』を見て、貴方の尻の穴に起きた変化ですが……私の呪いとは何の関係も有りません。貴方自身が気付いていなかっただけで、貴方には元から、そう云う性向が有っただけだと推測されます」
「待ちやがれッ‼ どう云う意味だッ‼ あと、何で知ってるッ⁉」
あまりの事に、俺の心が怒りに満たされた瞬間、俺の右腕がまるで焼けるように熱く……えっ⁉ 右腕⁉
「貴方の失なった右腕の変りに『神の肉体の欠片』の1つ『荒神の腕』を移植しました。その腕は、貴方の怒りや悲しみなどの激しい感情を力に変えてくれます。ただし、その怒りは、私ではなく魔物に向けて下さいね。私の身に何か有ったら、呪いが暴走するように仕掛けをしておきましたので」
「おい、これ以上、何が起きるんだよ?」
「私の身に何か有ったり、私を怒らせたら、貴方の皮膚の全てが、剥けたばかりの童貞のクソガキのチ○コの亀頭の五〇倍は敏感な性感帯と化します。貴方は一生、みじめなアヘ顔を四六時中晒し続ける哀れな性欲の塊になりながら、同時に、一生イく事が出来なくなります。あと、貴方の尻の穴の変化に関する件ですが……私は『淫神の肉棒』の力で、周囲の人間の性欲に関する事を知る事が出来ます。私の個人的見解では、恥ずかしい事では無いと思いますが、私は女性にしか欲情しない上に、同性の恋人には不自由しておりませんので、貴方の穢らわしい尻の穴に『淫神の肉棒』をブチ込む気も、その必要性も有りませんので、念の為。そちらの欲求に関しては、男にでも頼んで下さい」
あまりの事が、次から次へと起きてるので、もう訳が判らない。しかし、もう1つ聞くべき事が有った。
「何故、魔王を倒した俺達が、魔王より格下の魔将軍に、あっさり負けたんだ? 君がさっき言った『魔将軍が使った禁呪』と何か関係が有るのか?」
「魔物達が使う禁呪の中に、邪神に自分の全存在を捧げる代りに、一時的に力を数十倍に上げるモノが存在します。あの魔将軍は、それで、短い間とは言え、魔王すら遥かに超える力を得たのですよ。そして、私は、禁呪に伴なう邪神の気配と、姉様の最後の念話で、姉様達が危機に陥っている事を察知して駆け付けたら……全く、何で、貴方だけ生き残ったんですか?」
「いや、待て、その『邪神』って何だ? 魔王とは違うのか?」
まさか……まさか……1つの大きな戦いが終る度に、次の戦いが起きて……そして、新な敵と、それまでとは違った「ルール」で戦う事になるのか?
「ええ、魔物とは、元々、神々に封印された邪神が、復活の為の『栄養』として生み出した種族なんですよ。魔物達が使う魔法は、多かれ少なかれ、魔物達自身が自分の存在の一部または全てを『邪神』に捧げる事で発動するものなんですよ」
「じゃ……じゃあ、もし、その邪神とやらが復活したら……」
「異世界から『闇の勇者』を大量に召喚して兵隊にすると聞いています」
「はぁ?」
「何かおかしいと思わなかったんですか? 貴方の世界とは違うこの世界に、貴方の世界と同じ『人間』が居る事を……。この世界の人間やエルフやドワーフその他の種族は……神話の時代に、神々と邪神が戦った際に、邪神が他の様々な世界から召喚した『闇の勇者』の子孫です。神々が自らの肉体の消滅と引き換えに邪神を封印した後、邪神の『駒』として、この世界に連れて来られた者達を哀れみ、この世界の住人となる事を許したのです」
お……おい、待て、その邪神とやらが、他の世界の人間その他を、この世界に召喚する能力を持っているなら……俺をこの世界に連れて来たのは、神々と邪神のどっちなんだ?
まさか、俺は、邪神の両手の間で踊っているだけの、みじめな猿なのか?
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