第28話 音威子府
初めて行った音威子府では
たくさんの雪が降り続けていた
こんなところでひっそりと暮らしてみたら
私にも普通な生き方ができるのかもしれない
そんな幻想を抱いた
今ならわかる
どこへ行っても救いなどない
どこへ逃げ出したとしても
自分の問題を解決できるのは自分だけなのだ
音威子府と言う美しい地名が
束の間私に見せてくれている
美しい夢
やがて大量の雪とともに
融けていくのだろう
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