17さい(と36かげつ)、遂に終わります。
「この階段ってどう見ても」
「人数制限の階段ですね。制限解除は数階深くにあるスイッチを押さないと解除されなかったはずです」
「ここにきて厳しい。何人入れるんだろう?」
「現在発見されているデータから統計を取ると、ほとんどの場合少数、ですね」
ということで作戦会議。40階で攻略を終えてしまうか、それとも少数を送り込むか。少数の場合、私、
まあ、人数制限はされても出られるから引くことはできるみたいなんだよね。
私の異次元で運ぶ、という案はイレギュラーを引き起こしかねないということでやめることにしました。
なんやかんやの議論があった末に、私達で行くことに。日本最高戦力複数人が死ぬかもしれないという政治的恐怖はあるにしても、宇都宮城跡ダンジョンを攻略しておかないと安全にこのダンジョンを使えないというわけもございまして。
「んじゃまあ、行ってくるわ」
といって私、しゃちょー、愛ちゃんが人数制限の階段に侵入。
すると、階段の入口、私達にとっては出口、が消えました。
あらー、階段消しの罠もかかってましたか。
「うーん、この3人かあ」
「バランスはいいですよ、春奈さん」
「僕も強くなって帰ってきたしね」
41階。久しぶりに資源階。豚のオークがいました。
1頭で2憶3億いくのでは?
狩りじゃ! 出会え野郎どもー!!
スパパパパ!! スパパパパ!
ザシュッザシュッザシュッ!!
カッターカッターカッター!
「ふう、相当狩ったね」
「異次元の家にある巨大冷凍庫がパンパンだね。これでお金には困らないんじゃないかな?」
「老後の資金として計上しておきます」
しゃちょー、すでに老後の資金まで考えてるのか。深い。
41階を堪能した後は、42階。ここは水場階でした。水には困っていないけど、汲んでおきました。売れる。
43階。ついにモンスター階に。モンスターは……
鬼でした。そう、あの角が生えてる鬼。赤いのと青いのと。
鬼、それはめちゃくちゃ強い存在で、一般モンスターとしては最上級に当たる存在です。
2m50cmはあろうかという身長と200㎏はありそうな体格。
そして何より厄介なのが、魔法が効かないことなんです。物理法則を使った魔法なら普通に効きますけど、魔法的な法則を使ったものは無効化されます。
私ほとんど戦力外だ……
魔力残量馬鹿食いしますけど。
ここはフロアに分かれている階なので、フロアごとに殲滅、主に愛ちゃんによって。
愛ちゃん戻ってきてくれて助かったなあ…… いなければ私しゃちょー一夏ちゃんの魔法3人コンビだったから、まず間違いなくここで殺されてるよ。
身体能力強化は無効化されないので全体にそれをかけて殲滅殲滅。
殲滅といっても鬼相手なので被弾を避けるのは難しく、即死しないのを絶対条件にして体に当てて、速攻
なんというか、赤鬼は力、青鬼は器用さが高目?という感じなのかな、ゲーム的に表現すると。あと、青鬼は身長3mくらいあります。デカい。その分足を狙いやすいといえばやすいのですが。
階段を見つけたところまで進んで、一度異次元の家で休憩。本当これなしではここまで来れなかったなあ……
「次は44階かーどういう構造なんだろう」
「4と4なんでちょっと不吉ですよね」
「まあ、きっとなんとかなるよ」
数日異次元の中で過ごしてから44階へ。そこは
ボス部屋になっていて、魔人の亜種が中央に鎮座していました。え?
背中の羽は本物の白い羽になっており、肌は真っ赤。2本の角を持ち、白い頭髪とこれまた白い顎ひげを蓄えている、魔の神っぽい感じの亜種です。もちろんデータにはありません。
「きたか……」
「は、はあ。どうもどうも、若月春奈です」
「そうか……わしはまじん、まじんのくろーんもとじゃ」
「はぁ?」
「春奈さん、ダンジョンモンスターが日本語を話すなんて聞いたことがありません。惑わされないで」
「うん、うん」
「まあよい、ではやるとするかの。この……まけんをつかえ。扱えるならな」
といって地面に突き刺したのは一振りの刀。
「これは私がやる流れ……?」
「まずは僕が相手しよう」
そういって愛ちゃんが両手剣をもって相対しようとします。
「どうじゃかのう……ふんっ」
魔神(仮)は軽くステップインしたと思ったら次の瞬間には愛ちゃんを殴り飛ばしてはるか後方にまで吹き飛ばしていました。愛ちゃん!?!?
「ちょ、愛ちゃん!?」
「わ、私が看病します!その、3人死ぬときは一緒です」
きらりと流れる一筋の涙。
死なせるもんか。
「この剣……刀かな。これで戦えばいいんだね、よーし握ってやろうじゃないか」
魔神の刀を握った瞬間にとんでもない量のパワーと意識が体中に飛び込んできました。
《力、この娘の力が欲しい》
《この身体はなじむぞ》
《さあ、この身体をわれらの物に》
うう、意識が……あの乗っ取られた時と同じか……
この階層は魔神(仮)に遊ばれて死んでいくのだろうか。
【まだ早い!】
ここでこんこん様が私の脳内に憑依。
《ぐああああああ》
《きつねめえええ!》
《乗っ取れない、これでは無理だあ》
【そのパワー、逆に利用してやろう】
なんかこんこん様いつもと感じが違うなあ。
とか考えられるようになったと思ったら、全身を駆け巡り扱え切れなかったパワーが私の中心部に集まり、一つの力として私に定着? しました。
「ふう……とても良いパワーをどうも」
「たえきったか。それではいくぞ。現出せよ、
最終決戦、始まります。
カキィンカキィンカキィン!!
「
「サンダーボルト!!」
二つの魔法がぶつかって消滅!
「そう、りゃ!」
私の突進袈裟斬り!
「そいの!サンダーブラスト!」
それをバックステップ回避した魔神はそのまま雷魔法を放出!
「
遮蔽した後にまた突進!次は横薙ぎ!
「なんの!」
魔神はスウェー回避。からの態勢を戻しつつ右袈裟斬り!
私は左にステップ!再度横薙ぎ!
「
爆発エネルギーを球形状にしたショットを放つ!!
「まだまだ!」
魔人はサンダーシールドを展開、完全防御!
一瞬でも隙を作らせないといかんな……
カキンカキン回避回避しながら考えていると、魔人の後ろから猛ダッシュして抱き着いた人が。
「愛ちゃん!?」
「今だよ!!!!」
うおおおおおおおおおお!!
「
ドゥーン!!
「これはね、ある特定空間の時速度を遅くする技なんだよ。まさかこの作者の最初期作品からこの技を引っ張ってくるとはね。でもね、これで終わりだあ!!!」
溜めに
溜めに
溜めに
溜めに
溜めに
溜めに
溜めに
溜めての
「
――それは以前とは違い、一筋の収束したエネルギー波となって魔神に襲い掛かり……――
ブッシャア!!
――魔神の頭部だけを溶かしつくしたのだった――
吹き飛ぶ頭、飛び散る血液。
勝利!!
「終わった! 終わった! 愛ちゃんケガは!?」
「してない、本当にすごいね春奈の魔法は」
「そっかあ、よかった。それで、ここってボス部屋なんだけど、終わりかな?」
「いえ、ここに今階段が出現しました。まだスイッチも確認しておりません。休んだら次の階に進むしかないでしょう」
「まじかぁ……」
相当な消費をしていたのもあり、休憩というか一晩過ごした感じに。
休憩開けて、神妙な面持ちで45階へ。どうなってるんだろう。
「これは……」
「培養槽に入っている巨大な脳みそ……?」
「としか見えませんね。フロアは研究室のような感じですね。しかし巨大です」
「えい」
パリーン
「ちょっと春奈さん!?」
「ふ、今の私には魔神の剣から奪い取ったパワーがあるのさ。もうどんな敵が来ても余裕よ余裕」
培養液が流れ落ちて、脳みそもぐちゃっとなって生命活動を終了。
終わったかな。
「ああ、今目の前にスイッチが出現しました。これで、帰れます」
「おーし、かえろっかー」
こうして私たちの宇都宮城跡ダンジョン攻略は成功して終わりました。
後日わかったことなのですが、あの脳みそを破壊した直後から、モンスターの統率がなくなったそうです。ふーむ、統率をつかさどる脳みそだったのかな。とにかく巨大だったしね。
50階ではなく45階でしたが、無事に宇都宮城跡ダンジョン攻略完了!!
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