17さい(と24かげつ)、魔人と一緒にラグビーです(7人制)
魔人、それは20階層以上からランダムに出現し、駆除人、つまりダンジョンハンターを駆逐していく存在。
体は細身で掠れた朱色、皮膚で覆われた羽 (エネルギー励起装置と思われてます)を持ち、言語はわかりませんが言葉を発し、当たり前のごとく数種類の魔法を使い、圧倒的な力で我々をなぎ倒す存在です。
この80年たった今でも報告数が少数なためあまり詳しい内容がわかっていません。
多気山ダンジョン7階ボス部屋で出会ったときはこういう趣旨の発言をしていた気がします。
今回は宇都宮駅東ダンジョンの35階。階層の部屋はテニスコートくらいの面積のいわゆる『中ボス部屋』が1つだけ。
霊験あらたかな山で多氣山不動尊もある『強い』多気山にできた、多気山ダンジョンほどの強さはないと思いますが、5倍も階層が深い。しかもなぜか魔法陣の上に立っている。
もしかしないでも34階の血まみれの魔法陣、そして壊したとは言うものの33階の魔法陣でなんらかの強化を行われたのは多分間違いないでしょう。
勝てるのか怪しい。
ただ。
逃げられない。
後ろを見せると即座に世界最強属性である雷属性の魔法で即死攻撃を行ってきます。即死しなくても被弾すれば筋肉が電気ショックで硬直して動けなくなります。結局死ぬ。
「やるしかない」
誰かがそうつぶやいた後、我々7人は魔人と相対するために向かっていったのでした。
「やあやあわれこそは若月春奈であるぞー」
「春奈、同じギャグは2回目までだからね」
「ウィッス」
私達は向かって左面、時超えは向かって右面に陣取りました。狙うは愛ちゃん達一さんの一撃、一夏さんの最大威力属性魔法、そしてモニカちゃんのリバースフルケアです。
私は前衛が下がった瞬間に中程度の属性魔法を狙おうかな。
ゲーム見たく勝手に
「たぁ!」
愛ちゃんの牽制、魔人は体をのけぞらせて回避。スウェー回避ってやつですね。最小限の動きで牽制を回避されました。ツヨイ。
「せいや!!」
太一さんの突進!魔人は左ステップ!回避と同時に持っていた『槍』で太一さんの後ろを強打!
「ぐ、まだまだ!」
太一さんは意に返さずに振り向きます。ラグビーのスクラム組む人並みの超ガッチリした体型をしているだけあります、流石です。
あれ、これで裏取りできました? できましたね!突進は後方に位置するための移動だったんだ!
「オンウルッタ、グワバランサ」
これで3方面を取られた魔人は、くそったれみたいな言葉?を吐いて
「ゴリディボボ、グラエ!」
怪しい呪文とともに左手から炎の暴流を発射!茂一さんのグループに襲いかかります! 危ない!
「シールドウォール!」
一夏さんの防御魔法! 炎を遮断するように防御壁が展開されました!
「いけない! おるぁ!!」
何を思ったのか愛ちゃんが魔人に向かってぶちかまし(お相撲さんがやる体当たり)に近い突進をして強制的に魔人の魔法を解除!
「た、助かりました榊さん……」肩で息をする一夏さん
あ、そうか。魔人の魔法を防ぐほどの魔力をさっきの防壁に込めたんだ。一夏さん瞬間的に魔力も魔力残量も相当に使っちゃったはずだ。解除するのに後数秒遅れていたら危なかったんだ。膨大な魔力と魔力残量がある私基準で考えてしまった。
普通の人だと、そう何度も防げるものじゃないんだね。回復薬はあるけどさ。
攻めねば。
せい!
やあ!
おらあ!
リバースヒール!
コーンファイア!!
んがー! 致命傷になる一撃を全く与えられません! こんこんさまの一撃を待ってるんだけど、私のスマホに入ってから音沙汰がない!
「まだまだまだまだ!」
太一さんのシールドアタック!魔人はひらりと回避!
めげない太一さんは追いすがる!回避しながら槍で強打する魔人!それでも追い続ける太一さん!
今回は太一さんが輝くシーンですね。もう本当にぼろぼろになってるんですけど、味方のために必死で追いすがる太一さん。本当にラガーマンのようです。初見の時お相撲さんっぽいなーなんて思ってごめんね。ラグビー最高だよね。
【
こんこんさま来た!!来たよ!!これで勝てる!!さあこんこんさまどうぞやっちゃってくださ
【いまフルで魔法が届くのは左手から30cm程度だから、近づいてね♪】
びゃああああああああああああああ
まじでえええええええ
いや、やる! やるしかない、やるしか!! このままじゃ全員死ぬ!!
「やるしかない!! 春奈行きます!! 左手を近づければ必殺の技が出るってこんこんさまが!!」
突貫する私!ぬおおおお!
何かを察したのか全力で逃げ回り始める魔人!!
「全員追い掛け回せぇえぇ!!」
茂一さんの掛け声をきっかけに、魔人というボールを追いかける7人制ラグビーが始まったのでした。
私に
ぬおおおお!
まてえええええええ
オンダールルッダ!
ヒール!エクストラヒール!ケア!まだまだ魔力残量は余ってます!!
えええええい!
ダダバースダブッダ!
「達一!」
「わかった榊どの!ふん!」
愛ちゃんと達一さんのダブルタックル!愛ちゃんのは外れたけど達一さんのタックルは成功!即座に剥がされたけど動きが一瞬止まる!
「俺を忘れちゃあ困るなぁ!」
茂一さんの、肩より上の危険なハイタックル!ラグビーだと反則だ!
これが決まって茂一さんがまとわりつくのに成功!
後少し!!
「フドバァ!!」
な、魔人が全周囲に気を発して茂一さん含め皆を5mほど吹き飛ばしてしまった……せっかく後少しだったのに。
さすがにダメかな……
「ノーサイド(試合終了)までは諦めてはダメ!! おおおおおおお!!」
唯一吹っ飛ばされなかった太一さんと、太一さんに首根っこ掴まれてなんとか難を逃れた私がまだゲームの盤面に残っていました。
諦めちゃダメ、か!
「太一さんの真後ろにつきますね!」
「バックス達、後ろの選手を走らせるのが前衛であるフォワードの役目! まかせんさい!!」
私と太一さんが一つになり魔人に追いすがる!
「ホンダブビ、スッタダ!」
魔人の氷魔法!手のひらから放たれた猛烈な冷却エネルギービームが私達を襲う!
厳しい攻撃だけど、足は止めたな、足は。
凌げばチャンス!!
凌ぐ方法はこれしか無い!!
私は瞬時に太一さんに飛び乗り
「空間積層防御!!」
30cmは本気の魔法が出せるので、空間積層防御を30cmまるまる使って展開、完璧に防いだ!
「そのままつっこんでええええええええええ!!」
「うおおおおおおお!!」
「フンダダァ!」
ぴぴー、ノーサイド!
勝ったのは
「やったああああああああ!!!!」
そう、私達でした。
太一さんが背負っていた私をおもいきり放り投げ、足が止まっていた魔人に私が吸い込まれるように投げ飛ばされていき、トライ。
額に触れた私の左手。そこから放たれるこんこんさまの超級雷魔法によって脳を焼き切られて、魔人は即死しました。
戦闘で勝負がつくのは、本当に一瞬なんですよね。
つ、疲れたぁ。
「いやあ、シールダーの太一さんという存在は凄いんだね。魔人の攻撃相手にしても怯まないんだから」
「春奈さん、回復キットの準備を。太一さん、我慢していただけで内部は叩かれてぼろぼろになってます」
「あ、うん、すぐに用意する」
「タリメーヨ、うちの太一は春奈さんの全力魔法を目にしても怯まねえよ。太一がいるから俺と達一が安心して全力で行動できるんだ」
「太一さんもすごかったけど、一夏さんの防御魔法もすごかったなって僕は思うんだ。魔人の魔法を止めたからね」
「攻撃魔法が見せられなくて少し残念です。防御魔法も数秒しか持ちませんでしたし……」
【狐神の化身が宿ってないのに耐えきるとか凄いと思うーこゃーん】
とまあ雑談しながら手当などを終えて、魔人の遺体を異次元の中に詰め込んで帰還。攻略報酬+魔人討伐報酬+魔人身体売却の3つ合計で1億4千万が手に入りました。一人2千万かな。
数倒してないのにこれはまあ美味しいと思う。34、33階は馬鹿みたいな数を倒したからねえ。
魔人の槍が戦利品として残ったんだけど、これは研究所に一度回して乗っ取りがないか調べてから使うか売るかを決めることにしました。
太一さんの回復を待って、次は36~40階層の攻略だー。その前に温泉入りたーい。
――――
【速報】春奈と茂市の所、魔人を撃破するPart137
549:速報大好き名無しさん
これでもう春奈たんを同族殺しとか味方討ちとかいうやつは現れんだろ。
743:速報大好き名無しさん
榊と春奈は魔人を二度撃破か。現役だと軍隊にいるかどうかだな。一度撃破なら結構いるんだが。
959:速報大好き名無しさん
>>743
海外に目を向ければまだまだこのレベルはゴロゴロいるぞ。すごいのは確かだがな。
【ラガーマンの鏡】魔人戦においての太一の動きが神Part23
43:戦闘大好き名無しさん
視線連動映像見たか?ずっと追い続けて魔人に何もさせてねえ。神だな。プレイヤー・オブ・ザ・マッチだろこれ
57:戦闘大好き名無しさん
私は太一を信じてたから。太一最高
68:戦闘大好き名無しさん
今まで影がなかったのに光が当たるとファンが湧いてくるんだよな、にわかファンが
70:戦闘大好き名無しさん
にわかでいいじゃないか。
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