17さい、名無しの農村ダンジョンでいきなりレアゲットです
「うーさーぎーおーいし、かーのーやーっまあぁぁぁ!」
眼の前の巨大なウサギを華麗なる長脇差の刀さばき(自称)で斬り伏せる。ふ、私に挑んだのが行けないのよ、ウサギさん。防具ちょっとボロボロだけど。30分位かかった気もしないわけではないけど。
ここは栃木都のとある農村。私
『ダンジョン駆除業』というやつです。いわゆるダンジョンハンター。スタンピードが起きないようにダンジョンの内部のモンスターを駆除、ぶっ殺すわけですね。
1階は田園が広がっています。ダンジョン栽培ってやつです。このダンジョンは大部屋空間というタイプの内部が広いダンジョンですので、こういう風景が広がっています。
さって、今日は2匹も倒したので帰りましょうか。できれば血液も食べたいのですがちょっと抵抗があるので。血抜きをしてダンジョンの外に。
ダンジョンにはたいてい管理ゲートが存在し、スマートフォンの個人登録情報を確認して通行します。
ここの依頼を役所に出している田中さんに報告へ行きましょう。田中さんは外で畑も耕しております。
「ああ田中さん、本日は2匹取れましたよ」
「そがー。あんがてえけんども、もちっと気張ってくれねえとなあ。少し下に降りてきちまって、電気柵に引っかかってるやつぁいるんだ。顔はいいけど腕はまだまだだんなあ」
「う、精進します……」
田中さんと別れてやり忘れていた討伐証明へ。大体ゲートと付属している討伐証明管理機に私の左手に埋め込まれているスマートフォンをかざして、読み取ってもらい完了。
スマホに討伐数が記録されているんですよー本当凄い技術です。スマホは生まれたときから埋め込まれています。数千年前の古代文明がDNAに刻み込みました。
討伐したウサギですが、一匹はダンジョンに捨てているので一匹ウサギをもらって、帰りました。
いつも食事はウサギです。あんまり美味しくはないですが、ダンジョン産の食材を食べるだけで身体能力が成長するわけで、食べない理由はないです。2階のウサギとかだと、あまり効果はないって話ですけども。
ウサギ食べて剥いだ皮を乾かしてなんてことをやっていたら眠くなってぐー。
「ふあー、よく寝た。今日は遠藤さんのお手伝いだっけ。あそこのダンジョンの3階の処理、ということで新しい人が来るという話だけど、誰かなあ」
気難しい遠藤さんに挨拶をし、ゲートの前で待機。現れたのは
麗人でした。れ・い・じ・ん。うるわしい。
ちょーきれーなんですけど!?!?あと、背が高いー!!170くらい?
私145cmくらいあります。てへ★ じゃない。羨ましい。
「おおおおおはようございまひゅ、若月春奈ともうしやす!」
「緊張しないでー、僕は
「え"、駆逐ですか?処理じゃなくて?全滅させる方?」
「そうだよー、がんばろー、おー!」
かっわいい、まじかっわいい。ふわっふわの雰囲気だよ!!でも腰につけてるのは結構大きな西洋の剣だね。
「がんばりましょう!凄い剣をお持ちですねー、私はバックラーと長脇差です」
「んふーふー、西洋の片手半剣。ハンド・アンド・ア・ハーフ・ソード。昔はバスタード・ソードって呼ばれてたかな?これ使いやすいんだー。そだ、ダンジョンの中では誰しも公平だから、敬語やめてもらっていいー?」
「あ、うん、わかった。じゃあ行こうか!まず討伐管理機にパーティ申請するんだよね!」
パーティを組んで1階の畑を通り過ぎ2階へ。ここも田中さんの2階同様、まだ未駆逐、つまり完全殲滅しきっておらずネズミが出ます、ネズミが。食えないしうるさいし数が把握できないほど多いので完全殲滅は無理でしょう。
下が畑なのは安いんだろうね、賃貸料。
大部屋空間じゃなくて中部屋と通路がつながってる半迷路タイプだしね。ダンジョン改築するのにもお金がかかるし。
ダンジョンは買い上げたり賃貸したりできます。一種の不動産。原則階層ごとに別れてダンジョン不動産管理をします。駆逐しきってればね。
「春奈ちゃん、ここで少し連携の確認しようか」
「え、あ、はい。じゃあ一体を囲んだときは――」
急にしゃっきりしおった。本気になると違うのかな。
逃げ回るネズミを相手に連携の確認。私の攻撃はあたってないけど愛さんの攻撃は正確。ポンポンポンポン当てて殺していってる。強い……
「愛さんお強い……」
「そうでもないよ。あ、愛ちゃんって読んでもらっていいかな、僕もう春奈ちゃんってよんでるし」
「凄い急接近。わかったよ愛ちゃん」
「んふー嬉しい♥」
「く、可愛すぎる、殺せ」
「何で殺すの!?!?」
少し打ち解けた感じがする。愛ちゃん距離感を感じさせないね。これも強さがなせる技なんだろうか。
さて、連携も確認したし3階へ。私2より上いったことないんだよなあ。どんなの出るんだろ
ゴブリンでした。そう、あのゴブリン、少鬼の方。
「無理じゃない!?」
「単体だから大丈夫。はっ!」
愛ちゃん、ダッシュから踏み込んでの袈裟斬り!ゴブリンAは斬り伏せられた!
強い。やばいなこのままじゃなんの役にも立たずに終わる。
「えっと、愛ちゃんとの実力差がありすぎるよ、どうしようかね」
「そうだね、じゃあタックルで動き止めるから首を掻っ切ってくれるかな?少し鍛えよう」
えぇーまじかー
あーすげー片足タックル一発でダウン、即座にローリングかまして背面取ってる。
じゃあお構いなく、く、く…… 人型を殺すのにはちょっと抵抗感があるね…… ええい!
グサァ!
よし、やったで。…… なんか力が湧いてくる気がしないでもないかな。
「オッケーオッケー。でも僕を切る軌道はやめてね」
「ごめん!でも次は大丈夫!」
出る敵出る敵片足タックルからの首切りで私も少し成長しました。なんでも女性の方が成長率高いんだって。
奥の方までタックルし続けた結果、大体駆逐できましたね、この階も半迷路なんで、もうちょっと探さないけませんが。
「階層効果って凄いな、私結構強くなったよ、脇差振ったときのブレが少なくなった」
「春奈ちゃん成長率いいと思うよ!どんどんやっていこう!」
どんどんやるぞー!次の階はーなにかなー
サッカーコートくらいの円形の空間がある部屋にゴブリンが一人。
これはもしかしないでもボス部屋のボスなのでは。
スマホを利用してデータベース検索。モンスターデータベースによるとゴブリンウォーマスターだー!
「か、勝てるかな!?逃げたほうが良くない!?」
「イケる!はぁぁぁぁぁ!!」
実際戦闘は一瞬で終わりました。ゴブリンウォーマスターは体格が大きいです、といっても1mくらい、それに長剣。
対する愛ちゃんは170cmの長身に110cm位あると言っていた片手半剣。絶対的なリーチが違います。
一撃目を袈裟斬り、これをガードされるも振り切ってからの遠心力で横に持っていって横薙ぎ。ウォーマスターは防御が間に合わず真っ二つ。2発で終わりです。
本気で強い。
「す、凄い……」
「やったー!勝った勝った!多分特典もらえるかもしれないよ!」
ぴょんぴょん飛び跳ねる愛ちゃん
本気でかわいい。
「か、可愛い……」
あ、でも特典って深い階層に行ってダンジョンボスを倒さないと取れない、かなりのレアモノだったはずだなあ。流石にこんな浅い階層では
ぴんぽんぱんぽーん
――――青い狐の神様による加護を受け取りました、強制です。――――
即時の効果 魔法
全体的な成長率の増加
狐が好きになる
――――これから頑張っておあげさんを奉納してね☆――――
ぴんぽんぱんぽーん
「この、脳に直接届くような声は一体……?」
「これきっと特典だよー!やったー!」
もらえちゃった。
「んで、魔法って?」
「なんかイメージ湧いてこない?私は防御シールドみたいなものは何となく分かるよ。こうでしょ、えい!」
なんと愛ちゃんのスマホから、薄くて小さいけれど、青く輝く物体が出現しました。ちょっと脇差でつついてみたけどボヨンボヨンいって跳ね返される。確かにシールドだわ。
「うーん。んじゃあこのイメージは突風を起こす感じかな。スマホを向けた先の10mくらい前まで風を出せるイメージができるね、えい!」
BOON!!
「うおお!?本当に風が!結構勢いある!」
「やったね春奈ちゃん!」
「うん!でも風かあ」
「登録所いけば他にも使えるようになるんじゃない?」
「魔法持ちは登録所で研修と登録を行うんだっけか。えっと、3階の駆逐しちゃったしこれでお別れかあ、ちょっとさみしいね」
「そうだねー、でもまた会えるよ。ハンター続けられればね。あと登録所は同じ所じゃないかな?」
「あ、そだね。それじゃあまた!」
といことで解散、愛ちゃんかー…… ぐふふ
若月春奈、どう考えてもおこぼれでボス討伐の特典を手に入れました。しかもレアな「魔法」です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます