第2話 あの日から

 あれは、4月の初登校日から数日が立った頃だった。


「部活どうしようかな。何もしないのもつまらないしな」


 学生であれば誰もが通るであろう、部活選びをしていたときだった。


 部活動の紙を睨みながら考える。


「小説部? そんなものまであるのか、何なに? 自分の小説を互いに読み合い感想を言い合う。たまに大会に出してみたりする。か、これなら俺でもできそうかな? 行ってみよう」


 思えばあの決断こそが間違っていたのかもしれない。


「すみません、入りますよ?」


 ノックをしても返事がないので、小説部の部室に入る。


「部屋暗いな、あのーすいません」


 呼びかけたあと、明かりをつける。


 するとソファーらしきものがあり、そこで寝そべっている人がいた。


 覗き込むようにしてみると、白髪で少し俺より背が低いだろう可愛い女子がいた。


「って、三年の小柳柚木先輩か? ここの部活に入ってたのか」


 そんなことを小声でつぶやきながら、足場が見えないほど暗いため明かりを付ける。

 

「ふぁ〜、誰?」


 明かりをつけたせいか、あくびとともに先輩が起き上がった。


「俺、いや僕は難条雅人といいます。ここの部活に入りたいんですけど」


 そう伝えると、最初の落ち着いた顔がいきなり崩れる。


「やったーーーー! ねえねえ、一緒にお喋りしながら語ろうよ! そうだ、メールも交換しようよ。いや、ちょっと待てよ? まさか、入るとか言って少ししたら飽きて出てくなんてことないでしょうね。だとしたら私……私、うわーーーーーーーーーん!」


 最初の顔とは裏腹に、情緒不安定になりいきなり泣き出した。


「ちょっと待ってください! 泣かないで! 辞めませんよ。中途半端は嫌いなんです。よしよし、いい子ですね〜」


 頭をなでて泣き止んでくれたが、次は甘えん坊になってきた。


「もっとナデナデしてよ〜。優しくね優しく〜」


 流石にちょっとイラっとしたが我慢する。


 こんな感じで、小柳柚木さんに出会ったのであった。









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