メンヘラとヤンデレ、どちらがお好みですか?

歩く屍

第1話 誰か助けてくれ

 俺は今、追いかけられている。


「神様! いるならあいつらどうにかして!」


 闇に染まった目で、二人の美少女に追いかけられている。


「あなたは、私のものよ!」


 この声は羅城桜らじょうさくら、俺と同じクラスメイト。

 

 後ろを振り返れば狂気的な笑みが見えるが、黒髪ツインテールが特徴の美少女。


こんな大変なときに限って、誰からかメールがくる。


「誰だよ全く! 命の危機だっていうのに!」


 だがメールを開くと、見なければよかったと思える文が書いてあった。


『私を見て。なんで構ってくれないの? なんでなんで? ねぇ私ともっとお喋りしてよ。もっと私を見てよ。寂しいの、辛いの。メールもっとしていい? ねえねえ?、私を安心させて。私を見て。寂しいの、辛いの。メールもっとしていい? ねえねえ? ……』


 この文が永遠と続いていた。


「何なんだよ! 怖いよ! 後ろから追いかけてんだから自分の口で言えよ!」


 後ろから追いかけてくる人物。

 

 無表情で白髪のショートヘアのこれまた美少女がメールの送信者。

 

 名前は小柳柚木こやなぎゆずき


 三年生の先輩であり、教室を通りがかる際、いつも大人しいというイメージが残っている。

 

 先輩を見るとなんだか落ち着く感じがするのだが……。


(それなのに、何でこうなるんだよ!)


 本当になんでこうなったのだろう。

 きっかけはやっぱりあの時だろうか、高校生になって間もないあの日。


 そこから、俺の日々は終わりを告げた。

 

 そして、カオスな日々が始まりを迎えてしまったのである。





 



 






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