告白
岩木田翔海
告白
僕は海原さんが好きだ。
だから僕は彼女に告白をする。
校舎裏なんかに呼び出して。
きっとべただけど僕の気持ちはべたじゃなかった。
彼女に抱いていたのは特別な愛情だった。
さて、彼女を呼び出して、何と告白しようか。
「あなたが好きです」では、僕のこの特別な気持ちが伝わらないかもしれない。
そうだ、どうせならもっとロマンチックに言おう。
たしか、夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳している。もし僕がそう言ったならば、彼女が「死んでもいいわ」と返してくれることで僕の願いは叶う。
でも、このままではただ先人の言を真似しただけで、僕のこの特別な気持ちを告白するにはふさわしくない。ではどうしようか。
そうだ、「あなたが好きです」という報告ではなく「あなたに好きになって欲しい」という僕の願いを伝えよう。きっとそのほうが僕のこの特別な気持ちを伝えられる気がする。
よし、決めたぞ。あとは伝えるだけだ。
***
翌日、僕は彼女を呼び出した。
「急にどうしたの」
彼女はいささか怪訝そうだ。
そして、僕は彼女に告げた。
「死んでください」
それ以来、彼女が僕と会話することはなかった。
告白 岩木田翔海 @ShoukaiIwakida
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