11月9日 貧乏お嬢様、札幌を席巻する

翻訳ミステリー札幌読書会の開催日。

今回はリース・ボウエン『貧乏お嬢様、メイドになる』が課題書。

世話人榎本さんセレクトで初のコージーミステリでの開催だそうである。

以前、8月末の古典ミステリ読書会の課題図書を決める世話人三つ巴プレゼン対決で世話人榎本さん、本来課題書にあげたハドリー・チェイス『悪女イブ』のプレゼンをしているはずが『貧乏お嬢様、メイドになる』を課題書より面白そうにプレゼンしてしまい、プレゼン終了後そこかしこで「……貧乏お嬢様?」「貧乏お嬢様!」とささやかれた作品であります。


時は1932年4月。

貧乏お嬢様、ジョージアナはヴィクトリア女王の曾孫。じいさんがヴィクトリア女王の娘を嫁にもらったスコットランドの公爵家のお嬢だが、公爵家はただいま絶賛金欠病。社交デビューするも家柄のよいカネモチはつかまらず、家柄だけはいいからうかうかしてるとバルカンや東欧の政情不安な王家と縁組みさせられそうで困った困った。

ともかく貧乏から脱出しようと友人のツテでハロッズ店員に潜り込むもたちまちお払い箱。進退極まり思い付いたのは、「公爵令嬢も太鼓判で御推薦!」の軽作業オンリーのメイド派遣業。推薦する公爵令嬢とは?=ジョージアナ、派遣されるメイドとは?=ジョージアナ、のひとり二役。

ぽつぽつ派遣依頼も舞い込み順調かと思いきや、ジョージアナが暮らす公爵家ロンドン別宅のバスタブに、公爵家と浅からぬ因縁あるギャンブラーの死体が忽然とあらわれて……!


ちょっとセイヤーズの『誰の死体?』『雲なす証言』を意識したような、バスタブに忽然とあらわれる死体や、現・公爵家当主の主人公/ヒロインの兄ちゃんが殺人容疑でつかまっちゃうなどの共通要素あり。

読書会参加者の方々からは「ダウントン・アビー」や『高慢と偏見』を彷彿とさせる、との指摘も。


終了後、会場近くの南陽堂にて


『足寄より : 激白23年』松山千春, 小学舘, 1979.4

『ラーメンをつくる人の物語 : 札幌の20人の店主たち』長谷川圭介, エイチエス, 2014.1

『北を飛ぶ』朝日新聞北海道支社報道部編, 中西出版, 1996.11

『マサチューセッツ物語』北海道新聞社編, 北海道新聞社, 1989.8

『奇談千夜一夜』庄司浅水編著(現代教養文庫), 社会思想社, 1969.8

『恐怖の1ダース』中田耕治編(講談社文庫), 講談社, 1980.8

『貧乏くじはきみが引く』ハドリー・チェイス(創元推理文庫), 東京創元新社, 1970.7

『あぶく銭は身につかない』ハドリー・チェイス(創元推理文庫), 東京創元新社, 1970.10

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