第23話 誕生日会とお別れ会とクズノハの覚悟
主役が勢いよくドアを開けて登場する
肩で息をしており焦って走ってきたことがよくわかる
「「「「お誕生日 おめでとう クズノハ!」」」」
「・・・ふぇ あ ありがとうございます?」
しばしの沈黙からに困惑気味にお礼を述べる
その証拠に顔を傾けて耳もピコピコ動いている 落ち着かない感じだ
硬く結んだ 口は開かれる
「なんで 知ってるんですか?
クズノハの誕生日・・・クズノハも知らないのに」
「「え・・・」」
思わず声に出てしまった
俺とオーゲン てゆうかどうゆうことだ
クズノハ自身も知らないなんて
クズノハは顔を俯かせ重たく口を開く
「クズノハは物心ついたときには商品でした
奴隷でした そのままいろんなところに連れ回されました お父さんもお母さんもわからないです・・・だからなんで」
「いや クズノハが生まれた日はわらわも知らないのじゃ」
「「「え?」」」
俺とオーゲンの困惑気味の声にクズノハが加わる
「クズノハは思い出せないか・・・今日がなんの日か 仕方のないことなのじゃ」
少し寂しそうにフィルは吐露する
クズノハがなにかを察したように顔をあげる
「クズノハがこの屋敷に来た日・・・」
「その通りなのじゃ! ちょうど屋敷の門の前でクズノハが倒れていた日なのじゃ」
「ずっと覚えていたんですか・・・」
「無論 忘れるはずもないのじゃ
そしてわらわから一つプレゼントなのじゃ
アルフ」
「こちらに」
アルフさんが持ってきたのは地図のようだ
文字はほとんど読めないがなにか赤い印がしてある フィルは赤い印を指さし
「この場所がクズノハの故郷なのじゃ」
「こ ここが クズノハの故郷・・・」
「クズノハ これまでの献身 実にご苦労であった 故郷に帰ってのんびり暮らすといいのじゃ それまでの路銀も渡すし暫くの生活費も渡す 」
「・・・なんでここまで」
「当然なのじゃ!この屋敷の屋根の下
共に泣き共に笑い共に過ごした
わらわたちは家族なのじゃ!
だからこそクズノハに出来る限りのお礼をしたいのじゃ」
それを聞いた時 クズノハの目から雫が垂れる
それは留まることを知らず次々と床に吸い込まれていく 重い雫だった
どれほどの思いがその雫に込められているか
想像もできない
涙をぬぐい真っ直ぐとフィルを見つめ
クズノハは口を開いた
「グズノハはっ・・・
ごごに"っ いたいですっ いさせてぐだざい!
りょうりもかじも今まで以上にがんばりまずっ! だがらっ お姉ちゃんといっじょにいさせて! 離ればなれはもういやなのっ」
そこにはもうこの屋敷を故郷と思い
フィルを姉として慕う妹の姿があった
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