第62話



奴隷契約が終わったから、今度は全員分の身代わりの加護付きアクセサリーを買おうと思ったら、マリナを奴隷にしてくれたお礼としてプレゼントしてくれた。


こいつは頭がおかしいのか?

娘が奴隷に落ちたのにお礼って…。


まぁいい。


そしたら特にやることもないから、表でアリアたちが戻ってくるのを待つことにしよう。




マリナを連れて表に出るとアリアがいた。


「ずっとここにいたのか?」


「…はい。リキ様がいつ出てくるかわからなかったので。」


できた奴隷だこと。


「本日から奴隷になったマリナです。よろしくね。」


「…リキ様の奴隷のアリアローゼです。よろしくお願いします。」


こいつらは初対面ってわけじゃないから大丈夫だろう。


「アリア。セリナの防具に被膜の加護を付けて欲しいんだが、どのくらいかかる?」


「…たぶんですが、10日ほどかかってしまうと思います。」


けっこうかかるな。

第三王女の依頼には間に合わないが、付けといてもらって損はないか。


「じゃあ前みたいに頼む。」


「…はい。」


「もしかしてアリアちゃんって付与師なの?」


そういやアリアが付与師になったのはマリナたちと別れたあとだったな。


「…はい。」


「そうなんだ…。」


未練タラタラじゃねぇか。

だがもう奴隷になっちまったから手遅れだがな。



さて、2人が会話しているうちにマリナのステータスチェックでもしておくか。



奴隷5

マリナ 14歳

冒険者LV38

状態異常:なし

スキル 『アイテムボックス』『PP消費軽減』『ダンジョンマップ』『ライトヒール』『ヒール』『ハイヒール』『フェルトリカバリー』『MP増強』『パワーリカバリー』『ファイヤーボール』『ファイヤーショット』『フレイムレディエイション』『ウインドカッター』『ウォーターウォール』『サンドウォール』

加護 『成長補強』『成長増々』『状態維持』『成長促進』『奴隷補強』



え?マリナってCランクっていってたけど、こんなに弱いのか?


レベルも低いが、レベルに対してステータスが低すぎじゃねぇか?


カレンといい勝負だぞ?

それは人族と鬼人の違いとかか?


スキルも確認するまでもない感じだし。


これじゃあまずはレベル上げからしないといけねぇな。



セリナたちが戻ってくるまでにアリアと今後の予定を話しあった。




全員が揃ったから宿屋に行こうとしたらクリアナに捕まった。


ぜひ泊まってくださいといわれても、けっこう大人数だからと断ったら、それを断られた。


強引だな。


前に泊まった部屋とマリナの部屋を使えば全員入れるだろうということで、泊まることとなった。


まぁ宿屋代が浮くからいいか。


クリアナは飯を作りに行ったので、前に泊まった部屋にアリアたち全員を集めて話し合いをすることにした。



「さて、もうすぐ依頼があるんだが、うちのパーティーは7人になってしまった。たぶん半々とかにパーティーを分けるのは出来ないと思うから、1人外さなければならない。どうしたらいいと思う?」


「え?ちょうど6人じゃないですか?」


マリナはアオイを知らないんだったな。


「そういやまだ自己紹介も何もしてなかったな。マリナ。」


「あっ、はい。」


マリナは立ち上がった。


「新しく奴隷に加わりましたマリナです。よろしくお願いします。」


「…リキ様の奴隷のアリアローゼです。よろしくお願いします。」


「よろしく〜。変異スライムのイーラだよ〜。」


「獣人のセリナアイルです。よろしくお願いします。」


「鬼人族のカレンです。よろしくお願いします。」


「妾は鬼族のアオイじゃ。よろしくのぉ。」


アオイは複数人に一度に念話を使えたんだな。

なら毎回そうしろよ。


「え?え?え???」


珍しい種族もいるからか、マリナが理解しきれてないようだ。


「イーラは魔族でアオイはカレンが持ってる刀に憑依してる。いいたいことはあるかもしれないが、話を進めたいからとりあえず理解しといてくれ。」


「…はい。」


納得しかねているようだが、俺の命令は絶対を守ろうとしているのだろう。

そういうのは嫌いじゃないな。


「で、話は戻るがパーティーをどうするか。今のレベルで考えるなら、とりあえずマリナがお留守番が妥当か?」


「ちょっと待ってください!リキ様は冒険者ランクはなんですか?」


「Fだが?」


だからなんだってんだ?

話の腰を折りやがって。


「だったら最高でも受けられるのはEランクなので、私でも十分に役立てると思います。」


なんでこいつはこの弱さでそんなに自信があるんだ?


「だったら妾を外すがよい。Eランクの依頼では妾にとってはたいした経験値にはならんじゃろ。」


確かにアオイは1人だけレベルが100超えてんだもんな。


「アリア。どう思う?」


「…それが一番いいと思います。マリナさんを仲間として迎えるのであれば、せっかくのレベル上げの機会を無駄にするべきではないかと思います。」


それは一理あるな。

そもそも第三王女の依頼ってEランクなのか?


いや、ここで余計なことをいうと話が長引きそうだからやめよう。


「じゃあアオイには悪いが、依頼の間はパーティーから外す。いざとなったら手伝ってもらうかもしれないから、連れては行く。」


「承知した。」


「あとはとりあえずマリナには使えるレベルになってもらわなきゃならないから、明日は早朝からダンジョンでレベル上げをする。だから、今日は飯食ったらすぐ寝ろ。いいか?」


「「「「「「はい。」」」」」」


やっとアオイも返事するようになったな。


第三王女の依頼までにマリナをどの程度育てられるかはわからないが、せめて死なない程度にはしねえとな。


この前カレンの訓練がひと段落ついたばかりなのにめんどくせぇな。



はぁ…。



しゃあねぇか。

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