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VR機について、第0世代から第4世代まで。

 VR機の歴史


 《最吉最善の幸運者》と《悠然》


 2018年:初代VRMMO機の原型は軍事用機材、第0世代機『マトリックス』が極秘裏に研究が進む。

 2020年:天上院姉妹誕生。アミューズメント施設に置かれている格闘ゲーム型のVRMMO機器、第1世代機『ログインダイバー』リリース。

 2025年:天上院姫(5歳)がフリーソフト、【世界樹の種】をネットの海に公開する。【1つの】メインプログラムが自身のゲームプログラムを自動でバランス修正するプログラムであった。この時は永久機関の発想は無く、寝て起きてプログラムの修正を365日行う休眠の自動化。特筆すべきは【永遠を目指した1人の人間】をベースにしている所である。なので使い捨ての乾電池と一緒でありながら。フリーソフトだったので誰でも簡単に改造出来た。

 2032年XX月:天上院姫、神道社にとにかく入社。第2世代機『シンクロギア』に天上院姫は関わっていない【無監修】である。【2つの】メインプログラムが互いを修正し合うことで自身をメンテナンスしており、ゲームを滞りなく運営・維持している。【天上院姫は無監修である】。

 2033年:天上院姫は、運営ギルド『紅の夜総団』としてゲームソフト『エレメンタルマスターオンライン』βテスト時代攻略組の中でトップの座についていた。

 2033年4月:ヘルメット型のVR機『シンクロギア』のソフト『エレメンタルマスターオンライン』が発売される。

 2033年5月XX日:機能限定版簡易型のARシンクロギア『名無し』を天上院姫は破棄したが、他の研究者が研究を続行する。第3世代機『おーぐまー』誕生。

 2034年6月21日~30日。天上院姫が、神道社の代表取締役社長になる。

 2034年7月1日。第2世代機『シンクロギア』の上位互換へ進化させる方向で運営は動く。第4世代機『ミラーフォース00(ダブルオー)』を天上院姫【完全監修】による実験開始。形状は2つのリングが並んだ円冠状の器具。


 天上院姫は一呼吸おいてから続ける。

「まぁ前提歴史はこんな感じか」

 天上院咲は、まるで学校の授業のような長々とした解説に。うとうと、と寝息を立てていた。

「おい、私の武勇伝はそんなに眠かったか?」

「いや、なんか久々に静かな部屋に入ったから心が落ち着いちゃって」

 おかげで新しい技のヒントも得られたが、今は関係ないので保留にしておく。本当に勉強や宿題をやっているような実感がわいてきてしまった咲であった。


 咲は、あんまり突っ込んで話をすると。製作者側の苦労が浮き彫りになって。まとめるのが大変そうだと思ったので、さっき言った言葉をメモに取り。それと会社内を写真でも取ってノートのページ数を稼ぐ寸法でなんとか乗り切る算段に変えて。神道社を出て、1日は終わらせることにした。


【第4世代機ミラーフォース00(ダブルオー)】

 世界樹の種が展開され、自然放置し【世界樹シスターブレス】となった事を。後の祭りで知った天上院姫は、それ専用の次世代機として『天上院姫・完全監修』の名のもとに作られた。

 完全ダイブ(フルダイブ)を可能としたVR技術を搭載したカードのような携帯電話型のマシン。

 形としては、第0世代から第3世代まで姫は未監修でVRマシンは作られていた。姫は会社とは別の時計型マシンを開発中だったが、それをカード型に変え、更に会社が運営しているオンラインゲームにも耐えられるように改良した代物。

 ミラーは物理、フォースは特殊。00はプレイヤーの感情を数値化して表してくれる。


 現実世界、創造歴2034年8月ぐらい。天上院姉妹は何やら部屋でまた雑談を始めたようだ。

「お姉ちゃんまた何か作ってるの?」

「うん、タイムマシン。てか剣と魔法の異世界転生機?」

 いきなりファンタジー要素をぶっこんで来たよこの姉は。と思う妹、天上院咲。やること成すこと常識はずれでぶっ飛んでいる。

「今回の機械はどんなの?」

「MFCT000(ミラーフォースコンバートタイムトラベルオーズ)」

「名前がなげえよこんにゃろう」

 咲の容赦のないツッコミが口先から木霊する。しかし、前もってその聞き覚えのある機体名に少し疑問を投げかける。

「あれ? MF00(ミラーフォースダブルオー)じゃなかったの? 折角第4世代機が軌道にのるかそるかって所だったのに」

「ちょっとな、物理と特殊だけでは類似化出来ないようなものを知ってしまったが最後。新しい機体に着手している。増えたのはC(コンバート)変化と、T(タイムトラベル)だ」

「タイムトラベルってことは過去や未来に行けるように改良したの? 私達ゲーマーなのに何作ってんのさ」

「まあ私たちがゲームをする時には。MFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)に戻すさ。あと、タイムマシンじゃなくてタイムリープが可能になったって所だからな?」

 天上院咲にとって、タイムトラベルはタイムマシンやタイムリープがどういうものなのか。想像もつかなかった」

「あと『ハッピーの変換法程式』も10進法から16進法に改良した、これで桁数が000-00で収まる」

「その何とか方程式とか、16進法とか解んないんだけど……」

「まあ咲から見たら、意味不明な化学数字がスマホ型ゲーム機内で動きまくってると思えば良い。これは他世界解釈、クロスオーバーの時以外意味を成さない。咲は半運命感知(ハーフリーディングシュタイナー)だから。この概要には片足を沼に入れ込んだら、帰って来られないような代物さ」

「ふ―ん、じゃあ私はMFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)を心待ちにすればいいわけか」

「じゃな、MFC000(エムエフシーオーズ)はVRMMOゲームの中には組み込める。タイムトラベルは私の独断と偏見の趣味の産物だ」

「それって、第4世代機になるの? 第5世代機?」

「3DSが3DSLLに変わった程度の進化だから。まだ第4世代機だよ、第4はまだ始まって動き出したばかりだからな」

 そういって、姫はおもむろに。スマホのデジタル時計っぽい数字を咲に見せた。


【第0世代機マトリックス】

 2018年:初代VRMMO機の原型は軍事用機材、第0世代機『マトリックス』が極秘裏に研究が進む。


【第1世代機ログインダイバー】

 2020年:天上院姉妹誕生。アミューズメント施設に置かれている格闘ゲーム型のVRMMO機器、第1世代機『ログインダイバー』リリース。


【第2世代機シンクロギア】

〈シンクロギア〉

第3世代機。

民生用VRマシン、ヘルメット型のゲーム機で旧世代に戻ってしまったよも言われるが「今も昔も変わらないバイクのヘルメットと一緒だ」と開発者は主張。

解像度を落とさずデスゲームなどにならないよう脳に与える出力のを低くしたまま解像度の更なるアップに成功した。


〈VRマシン〉

ハードの内側に埋め込まれた無数の信号素子で発生させた多重電界でユーザーの脳を直接接続し、感覚器官を介さずに脳に直接仮想の五感情報を与えて仮想空間を生成する。

同時に脳から体へ出力される電気信号も回収するので、仮想空間でいくら動き回っても現実世界の体はピクリともしない。

また、一定以上の痛覚もペイン・アブソーブ機能によって遮断される。


 2032年XX月:天上院姫、神道社にとにかく入社。第2世代機『シンクロギア』に天上院姫は関わっていない【無監修】である。【2つの】メインプログラムが互いを修正し合うことで自身をメンテナンスしており、ゲームを滞りなく運営・維持している。【天上院姫は無監修である】。


【第3世代機ななし】

 2033年5月XX日:機能限定版簡易型のARシンクロギア『名無し』を天上院姫は破棄したが、他の研究者が研究を続行する。第3世代機『おーぐまー』誕生。


【第3世代機おーぐまー】

 2033年5月XX日:機能限定版簡易型のARシンクロギア『名無し』を天上院姫は破棄したが、他の研究者が研究を続行する。第3世代機『おーぐまー』誕生。



《アミュスフィア》に対抗するようにして発売されたウェアラブル・マルテデバイス。通称オーグマー(Augma)

フルダイブ機能を廃止した代わりに、AR機能を最大限に広げVRマシンに比べてかなりの小型化が図られている。

耳にかけるタイプのイヤホンマイクのような形状をしており、着用時もほとんど気にならないであろうことが見て取れる。

覚醒状態の人間に視覚、聴覚、感覚情報を送ることが可能で、現実世界にいながら仮想現実のような体験が可能。

《ナーヴギア》などとの最大の違いは、やはり現実の身体が動くこと。そのため、フィットネスなどの健康管理で利用するユーザーも多い。

ユナ(悠那)の発言よりVRマシン(ナーヴギア)の機能限定版とのこと。そのためVRへのダイブも一応は可能。


発売日: 2026年4月

メーカー:カムラ

スペック: 重量:245g/バッテリー:マグネシウムイオンバッテリー(18500mAh)/CPU:MoS2半導体CPU(2.2GHz/16コア)/BMIユニット:非公開


【第4世代機MF00(ミラーフォースダブルオー)】

「お姉ちゃんが今やるべきことって、ゲームのソフト開発?」

「違うって。今は第2世代機『シンクロギア』でVRMMOのソフト、『エレメンタルマスターオンライン』と『クリスタルウォーズ』を遊ぶ時代だろ?」

「まぁ、第0世代機から第3世代機までお姉ちゃん未監修だもんねえ。第0世代機に至ってはお姉ちゃん生まれてないし……、第3世代機『おーぐまー』はお姉ちゃんが途中放棄したものが世に流れたと……」

「だから。【ソフト】じゃなくて【ハード機】が今わしがやらなくちゃならないことだ。『天上院姫・完全監修』の次世代機、名前だけは先に決まっている」

「それが、第4世代機『ミラーフォース00(ダブルオー)』てことね」

 全面的な説明は。遊〇王の聖なるバリアミラーフォースと、機動戦士ガ●ダム00(ダブルオー)から来ているらしいのだが。どうにも天上院咲には嘘っぽく聞こえてしまった。

「で、本当の意味は?」

「さ、流石にお見通しか我が妹よ。そうだな正直に話そう、【双頭の写し鏡】が今の世界(ゲーム)を動かす大前提なのだが。今までの私は物理構造だけで特殊構造に目が回らなかった」

「ゲーム内で、物理と特殊。両方を動かすってこと?」

「ざっくばらんに言えばそういう意味合いだ。ミラーは物理、フォースは特殊だ」

「で、ゼロゼロはどういう意味?」

「ゼロからイチを生み出すのが私の夢だ。その夢はもう叶ってるわけなのだが、【双頭の写し鏡】もあるし。私をもう一人、鏡の世界に置いてみた。てのが正しい意味合いだ」

「それで今までとどう変わるの?」

「今も動き続けているオンラインにも対応するって事だろうな。物理の二進法、特殊の二進法」

 天上院咲が先読みして確信をつく。

「なにも全部統治しようとしなくてもいいと思うんだけどなぁ……で、お姉ちゃんが目指してる【ソレ】はやっぱり携帯型ゲーム機なの?」

 天上院姫の目指すべきゲームは、全く変わっていなかった。そこにリアルオンラインゲームのていそうが、くっ付いてきたと思えばいい。

「そうだ」

「拡張現実型のARで行くの? それとも完全ダイブ(フルダイブ)型のVRにするの?」

「悔しいが先人の知恵だ。私もやって咲もやった、フルダイブの方が色々制御しやすい」


 一息の休息という名の間を空けて。咲は首をかしげながら疑問文を投げかける。

「……じゃあ持ち運び出来る携帯ゲーム機で、いつでもどこでもフルダイブのオンオフ可能。てことなの? 大丈夫なのそれ? 危険です、歩きスマートホンはやめましょう。てレベルじゃないよ?」

 姫が誤解を何とか紐解かせようと説得が始まる。誤解というより一緒に問題を解くという感じだが。

「今の流行を追いながら例え話をしよう。次世代機は持ち運びできるスマートホン型のハード機。ソフトはアプリ、つまりデータだ」

「うん、それで基本オンラインゲームなんだよね……」

「そう、だからゲームをオンにしたら途端に思考が加速して。二人の間だけほぼ0秒……【てことは出来ない】他社はやるかもしれないがな」

「じゃあどっかの公園で安全確認をして、目を瞑ってゲームをオンにしてフルダイブをする。てことは必須なわけだね」

「あとはリアルですれ違いをすればイベントやら報酬が発生するはやりたいかな……、まぁこれはゲームソフト関係の話になるが」

「じゃあもう『ヘッドギア』じゃないんだね」

「どっちかというと『スマートギア』だな、ホンすらないって言うのが馬鹿らしいが」

 と、ケラケラと笑う天上院姫だった。

「で、これらにより実現可能となった技術革命が。オンオフ可能な【速攻休眠】と【速攻起床】だ!」

「え、マジか」

 速攻で休眠できて、速攻で起床できる。まさに夢のような技巧だった。

「麻酔のSFだと思ってもらって構わない、まさに天才的だ」

「紙一重だなおい……」

 仕事疲れのサラリーマンや、勉強に忙しい学生が別の意味で殺到しそうだな。と咲は思った。

 と、そこで咲はゲームが終わったオセロをルール無用で白にした。本当に、特に意味はない。

 だがまさに、人間らしい自然な行動だった。



 実際にログインしてみないと解らないことだってある。なんというか没入感? より深い快適な睡眠が実現されてるような気分だった。ソフト的には変わっていないから『妖精の世界』なんだけど。聞こえてくる音はよりクリアに、手をグーパーする感触もより鮮明に感じる。土をなめれば苦い味がするし、その辺に実ってる普通のリンゴなんかも食べると甘い味がする。一番違うのは5感だ。すなわち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚が再現されている。今までは味覚と嗅覚が再現されていなかったが、この2つが今までと明らかに違う。ゲーム機の固定概念を根底から改変している、【夢よりもリアル】だった。

 ただこれは物理的な5感の感情だ。第4世代機『ミラーフォース00(ダブルオー)』と言うからには『物理がミラー』『特殊がフォース』だったはずなので、まだある。【第6感(シックスセンス)】だ。前にもチートとして活躍していた、世界を形成するポリゴン群じたいを操作する。【念波】がこの世界ではいちいち壊したら、自分の手で治さなきゃならないのに自動修復されるようになっていた。つまりこの次世代機ではチートでもなんでもなくなったということだ。

 現実世界では超能力と呼ばれる直感、霊感、イメージがこの世界では科学的にデータ化されている。そして、魔術的なものまでデータ化されている、具体的には螺旋、運命、自然である。

 今まではプレイヤーであるサキが石を投げれば、石は地面に物理法則にのっとって転がって落ちて役目を終えて消える。のに対して、この石は砂になって消えるまで無くならないどころか塵になっても残り続け量子世界のサイクルの一部として自然と流転する。

 これは、『世界樹シスターブレス』に新たに〈心理と文法〉の算法(アルゴリズム)が埋め込まれているからである。三大欲求である食欲・性欲・睡眠欲まで実装可能でオンオフが可能と来ている。ゲームなのにやりすぎだと言わざるおえない。

 今まで『世界樹シスターブレス』に新たに打ち込まれた式は今のところ2つ。〈ワールドクエスト『今を生きるために』〉と〈心理と文法〉である。

 世界が悲しめば雨がふるし、世界が怒れば火山が噴火する。この世界では〈思議〉は当たり前のように物理的に数値化していたが〈不思議〉も特殊的に数値化しているのが最大の特徴だろう。今までなかったことだ。

 例えば、影なき影を女神は追う。など、この世界では〈見事〉として実現可能として処理される。ただあるオセロだって裏表だけじゃなく、無いオセロだって裏表になる。支離滅裂だが、〈なかったことにしてはいけない〉ものだとして処理し続ける。



【第4世代機ミラーフォース00(ダブルオー)】

 世界樹の種が展開され、自然放置し【世界樹シスターブレス】となった事を。後の祭りで知った天上院姫は、それ専用の次世代機として『天上院姫・完全監修』の名のもとに作られた。

 完全ダイブ(フルダイブ)を可能としたVR技術を搭載したカードのような携帯電話型のマシン。

 形としては、第0世代から第3世代まで姫は未監修でVRマシンは作られていた。姫は会社とは別の時計型マシンを開発中だったが、それをカード型に変え、更に会社が運営しているオンラインゲームにも耐えられるように改良した代物。

 ミラーは物理、フォースは特殊。00はプレイヤーの感情を数値化して表してくれる。


【第4世代機MFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)】

 現実世界2034年8月1日。

 第2世代機『シンクロギア』から新たに乗り換える新機種、第4世代機『ミラーフォース00(ダブルオー)』オープンベータテストは紆余曲折あり幕を閉じた。


 現実世界2034年9月1日。

 夏休みも終わり、学校の授業が始まり。季節が夏から秋に移り変わるころ。

 前回発生した接合性的に鑑みて、失敗や成功を噛みしめながら。更にパワーアップした新機種。

 第4世代機『MFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)』が世に出され、安定化させることで終止符をつける狙いだ。性能は『MF00(ミラーフォースダブルオー)』とほぼ変わらないのでテストプレイ時期はなし。


 人々がこの新しい機種の愛称を『ケルベロス』と呼ぶのにそう時間はかからなかった。

 元々、00(ダブルオー)。【双頭の写し鏡】に固執する理由は天上院姫には無いのだ。【世界は彼女の手の外に零れ出ない】ことが解った以上。昔の本能の赴くままに、好き勝手に遊ぶ体制に戻らなくてはならない。でなければ彼女の【本当の夢】には遠く及ばないのだ。

 ただ一つ、違うこと、変わったことと言えば。それらを支える仲間たちや友達、研究者。そして何より天上院咲という存在だった。【独りじゃない】それだけでもう、【何でもできる】そんな気がした。

 そんなわけで天上院姫はゲーム『エレメンタルマスターオンライン』にログインする。

「『MFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)』、起動!」

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