賢者が探偵役になると推理小説は成り立たねぇ!黒銘菓短編集2弾

黒銘菓(クロメイカ/kuromeika)

和泉庵は苦悩する。

扉は開かれた。

「謎は全て解けた!!

犯人はあなた!!

氷と塩を混ぜた氷点下の井戸水で死後硬直を誤魔化したのね!!

裏の井戸水が塩水だったわよ!

なにより、この夏真っ盛りに凍傷があるのが動かぬ証拠よ!!」

この家の長男がそれを聞いて崩れ落ちた。

「だって…あの男は……母を…母をぉぉぉぉ!!」



事件は解決した。

名探偵和泉庵の現場入りと共に! 建物に入った途端に。

扉を開けた瞬間に!

「流石は、賢者。有り難うございました。」

呼び出した張本人、横条健よこすじけん警部は頭を下げる。

「嘘…え?他には?」

二時間掛けてこの屋敷まで来て、20秒で事件解決?

そんな…馬鹿な!


屋敷の前には吊り橋。

周囲は崖。


閉じ込められると思ってお泊まりセットを持参したのに!!

「流石はワイズマン!

電光石火でした。」

いかにも事件を寄越しそうな彼の名前は何なんだ?

羨望の眼差しを向けて!!



またしても解決してしまった。

「なんでなのぉぉぉ!!」












和泉庵(20)

職業:名探偵

好きな物:推理小説






悩み:事件が秒で解決される事




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