256カオス あとがきについて

「あとがき」が好きです。


 書籍の小説は、そのおしまいに「あとがき」がついていることがあります。読みますか? わたしはこれをとても楽しみにしていて、本にあとがきがあると「よし」と心の中で、小さくガッツポーズをします。


 文庫本には、さらに「解説」というものがついていたりして、「なんてサービスがいいんだ」と嬉しくなります。わたしは、小説だけでなくて、作者やその周辺情報も合わせて楽しみたいタイプの読者なのだと思います。


 若い頃、アシモフの短編集を好んで読んでいたのですが、アシモフという人はサービス精神の旺盛な人で、じぶんの作品を短編集にまとめるにあたって、それぞれの作品についての思い出を短い文章にまとめ、作品の前に添えていたりしました。それを読むのがとても楽しみで。


 こんなわたしですから、じぶんの小説にもあとがきをつけたくなるのですが――。読んでもらったらわかりますが、ほとんどあとがきのついている小説はありません。


 自分が小説を書き始めて、はじめてわかったことなのですが、本編以外の文章っていうのは、読んでもらえるという確信がないとなかなか書けるものではないんです。


 あとがきってオマケじゃないですか。

 読んでもらえる保障のないあとがきを書くっていうのは、大声でひとりごとを口にしながら通勤電車に乗っているくらい恥ずかしいことです。「それ、だれのための独り言だ?」


 PVが稼げないうちは、恥ずかしくってできませんでした。


 KACや、そのあとじぶんで始めた三題噺噺は、おかげさまでいままでよりたくさんの人に読んでいただけるようになったので、「あとがき書いてみよう」という気分にもなれました。


 小説は読んでもらえるし、あとがきも書けたし、PVがある、読者の方がいてくれるというのは、とてもありがたいことだなと再確認できました。


 読んでくれているみなさん、感謝しています。

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