133カオス キャラの話し言葉について
カクヨム でみなさんの小説を読ませていただいていると、いろいろと発見がありますが、今朝突然思いついたので、忘れないようにここに書きつけておくことにします。
ぴんときたのは「話し言葉の表現」について。
ここでいう話し言葉というのは、セリフ。小説のなかで
たとえば、
① 「あなたには関係ありません」里中は言い放った。
② 「オメーにはカンケーねーだろうがよ」里中は言い放った。
①と②は同じ意味です。でも話しているキャラクターが抱えているものは明らかに違う。話し言葉の違いで、里中の性格や年齢、社会的地位といったものが、見えてくるような気がしませんか。もちろん、これだけではわかりませんが、前後の文脈と合わせて、読者は里中の人物像を組み立てていくことでしょう。
話し言葉は、そこに書かれた情報以上の情報をその背後に抱えている魔法の言葉なのです。
初期のラノベは、この点を最大限に活用した表現を取り入れていて、地の文を読まなくとも、セリフだけでどのキャラが話しているのか分かる程度にまで、キャラクターごとに話し言葉を割り当てていきます。ラノベで地の文がほとんどなく、セリフばかりの小説が成立するのは、話し言葉のもつキャラクター化の効用が、いかんなく発揮されているためだと分かります。ラノベを成功させるには、話し言葉によるキャラクターの性格づけが明確にできていることが、必須条件といっても過言ではありません。
ラノベとは逆に、非ラノベ小説では、話し言葉の取り扱いがずさんじゃないのかと感じる小説にちらほらと出会います。意識的にそうしているのか、無頓着の結果そうなっているのかわかりませんが、話し言葉が不自然な小説です。
小難しいことではありません。現代を舞台にしているのなら、キャラクターの話し言葉は、現代風の言葉づかいになってる方が自然と頭に入ってくるということです。
わたしが小説を読んでいて目が止まってしまう表現は、女性の話し言葉をことさら女言葉にしてある文章です。
特に、文末に表れる「〜なんだわ」とか「〜なのよ」とかいう女性の話し言葉(文章中の話し言葉)に特有の表現ですね。
こんな喋り方する人いる? 少なくともわたしの周囲にこういう言葉づかいをする女性はいない。もちろん、女性に特有の言葉づかいというのはありますが、こんなに
わたしはこういう文章を読むと「昭和で止まってる」と感じてしまいます。昔の小説はみんなこんな感じだったけれど……。そのときの意識のまま凍りついてしまっているのだろうか。すごくもったいないと思う。そこにこだわりがないのならぜひ、現代的な言葉づかいをキャラクターにさせてあげてほしい。キャラクターに現代の空気を呼吸させてあげてほしい。
と同時に、わたし自身がそのことを書けているのか、いつまで現代的な言葉づかいをキャラクターに与えることができるのか。年をとって「いま」がどんな空気を呼吸しているのか分からなくなってしまいはしないか。不安になるのです。
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