88カオス 小説への感想の書き方

 このあいだ、いつもこれを読んでいただいているあいるさんが、私の更新した小説に感想を入れてくれました。私の小説を「面白い」といっていただいてとてもうれしかったのですが、そこで思い出したことを少し書いてみます。


「おもしろい」というのはアマチュア作家にとって殺し文句です(笑)


『そうですかあ?(ぼくってすごいのかなあ〜)』ととっても前向きに捉えて、うれしくなってしまいます。


 第三者的にみると、「ばかかお前。身のほどを知れ!」ってなものですが、鏡台の前に座ってお化粧をするように、自分の書いた小説を映す鏡があるわけじゃないので、なかなか自作を客観視するのは難しいところです。褒められ慣れないうちは素直に喜ぶのが正しい。それが小説を書くエネルギーに変わるでしょう。書いていくうち自身の至らなさは言われなくともわかってきます。


 ひとりのアマチュア作家のやる気をひと言で鼓舞することができるのですから、Web小説を読んでよかったなと感じたら、どんどん「おもしろかった」と感想を入れてあげましょう。


 次にうれしい感想は、小説の内容に共感してもらえたとわかるものです。小説を読んでいると「あ、その気持ち分かる!」とか「そういうシチュエーションってあるよな〜」という感想を持つことがあると思います。そうしたときはためらわずにその気持ちを感想として書いてあげて欲しいと思います。


 小説を書くという行為は、本質的にひとり行うもので孤独な作業です。またWeb作家というのは、ネットに向けてコツコツと書いているというイメージどおり、創作について周囲に理解者がいないというケースも多いので「共感」は彼らにとっての宝物となります。


 小説を読んで「分かるわかる」と感じたら、率直に感想として書きましょう。ひとりのWeb作家の魂の救済に繋がります!


 上記ふたつの感想より一段下がりますが、アマチュア作家に喜ばれるのが「上手ですね」という感想です。


 上手だというのはもちろんほめ言葉ですし、いわれた作家としてもうれしいのですが、上のふたつの感想より、作家と読者の間に距離があるように感じられます。また、素直でないアマチュア作家はこうした感想から「上手だ」と深読みするかもしれません。


 文章は上手だけれど、小説のおもしろさとしてはイマイチだ――というふうに感想を読み取るわけですね。作家というのは疑心暗鬼に囚われて読者の感想を読む生き物なのです(笑)


 誤解を避けるためにはその意図が十分に伝わるよう感想を書かないといけないので「上手ですね」という感想は、読み手としても上級者の感想と言えるかもしれません。


 ただ、プロの作家さんに「うまい」といわれるとすごい自信につながるので、プロの人はどんどん「うまい」といってあげてください。アマチュアは狂喜します。


 一方、残念な感想も存在します。


 だれでも自分の書いた小説にダメ出しされるのは辛いものですが、ダメなものをダメといってもらうことも、アマチュア作家には必要なことだと私は思っています。だから、「ダメ出し=残念な感想」ではありません。むしろ適切なダメ出しは必要で、それを素直に受け入れ、自作に反映させられる人の方に「未来の作家」を感じます。


 残念な感想というのは、作品や文章ではなく、その人にダメ出しをするコメントです。「まだ高校生だからわからないだろうけど……」とか、「……なのは女性だから仕方ないですね」とか「LGBTの人は……しがちだから」というたぐいのコメントです。


 作家の属性とその作品の良し悪しは別ですからね。それは感想を書く際にはきちんと峻別して書きましょう。


 その人の属性を前にして先入観になしに読めインプットといわれても、それはむずかしいですけど、せめて感想を書くアウトプットときは、自分が書こうとしていることがどういうことなのか、吟味する余裕が必要だろうと思います。





「また、おっさんが説教くさいこと書きやがって」と思いました? そのまま応援コメントしてもらっていいですけど、《おっさん》の部分は感想からカットしてくださいね(笑)


ではまた。

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