19カオス 音楽のもつ根源的な力

 音楽会にいってきました。


 息子の小学校の音楽会です。

 学校の体育館で行われたのですが、子供たちのお父さん、お母さん、家族の人たちでいっぱいでした。

 息子は今年、小学校に上がったばかりなので、音楽会を見るのははじめてです。もちろん、私も子どもの頃に音楽会の経験はあります。でも、それは披露する側としてであって、鑑賞する側として音楽会に出席するのははじめてだったのです。


 おもしろかった。


 決して上手ではないのですが、大勢の子供たち(一学年150人くらいいたそうです)が、歌を歌うのを聞いていると、迫ってくるものがあります。「音楽の力」みたいなのを感じました。


 かこさとしの絵本に『わっしょいわっしょい ぶんぶんぶん』(偕成社)というのがあります。

 

 ――とても音楽が大好きなおくにがありました。ところが、みんなが楽しく踊ったりするのがうらやましくて仕方がないアクマがいました……。


 このアクマが、国中の楽器を人々から取り上げてしまいます。人々は楽器に代わるもの演奏をはじめますが、それも取り上げられ、次に鳴き声で音楽を奏でられる動物たちを集めて音楽を続けようとしますが、これもアクマに取り上げられてしまいます……。


 音楽が大好きな人々は、楽器を取り上げられて意気消沈してしまいますが、小さな子供たちの「楽器がなくても、声で歌えばいいんだよ」という気づきに、声を合わせて歌いはじめると――


というお話なんですが、音楽会での子供たちの歌声に、とてもこの本のことを思い出してしまいました。



 歌には人の心を動かさずにおかない「野生の力」があります。商業ベースに乗っていない小学生の歌声だから一層そう感じるのかもしれません。歌声のもつ根源的プリミティブな力が、まだ私の中に残っていたなにかを揺さぶったようです。


 いい経験でした。

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