第十九話 中級ダンジョン 2
最初のゴブリンとの戦闘からしばらく経つが他のゴブリン達と出くわすことがなく二階層への階段へとやって来ていた。
グレイさんにここで少し休憩しようと言われたのでそのついでにダンジョンについて聞いて見た。
「グレイさん、一階層のモンスターってこんなに少ないんですか?」
初級ダンジョンのときも一階層での遭遇は少なかった。
「そんな感じだ。上に行けば行くほどモンスターの数が増えていくもんだ」
「それじゃ、階層が上がれば集団で動くモンスターいるのも同じ理由なのですか?」
「そうだ。だがはっきりとした理由は分からねえがな」
なるほど。それで前の初級ダンジョンの四階層で複数で動くゴブリン達がいた訳なんだ。
「そろそろ上の階に行こうか」
「はい!」
グレイさんの指示で行動を再開する。
二階層に上がるが雰囲気は一階層と変わらない。もう少しモンスターとの戦闘をしたいと思い二階層全体に察知を使いゴブリン達の位置を確認する。
「み~つけた!」
思わず声が出てしまった。
「何を見つけたんだ?」
「何でも無いですよ」
「そうか」
それだけ言って前を歩き始めた。
「ミレイ様、言葉には気を付けて下さい」
――ごめん。だって一階層での戦闘が一回だけで物足りなくてつい。
「ついじゃありません。今度は気を付けて下さい」
――すみません。
歩きながらフレイのお叱りを受ける。
しばらく歩いていると十字路にさしかかった。前を歩いているグレイさんはそこを真っ直ぐに行こうとしたので、
「そこ右に行きませんか?」
「別にいいがどうしてだ?」
だってそこまっすぐ行くとゴブリンいないだもん!
なんて言えない。
「なんとなくですよ」
グレイさんは右に曲がってくれた。
それからしばらくすると剣を持ったゴブリン剣士と遭遇した。
「まさかゴブリンと遭遇するためにさっきの曲がり角を右に曲がったんじゃないだろうな?」
疑いの目でこちらを見てくるグレイさん。
「そんな事無いですよ。偶然ですよ、偶然」
冷や汗が出てくる。
「そらそうだよな。ミレイのステータス欄の魔法名に探知魔法は無かっもんな」
――しまった~! ギルドカードは完全個人情報。それをあんな簡単に見せてしまうなんて。
かなり落ち込んでしまうミレイ。
「ミレイ様、もう少し考えて行動して下さい。今回はグレイ様がいい人だったからいい物のもしも悪い人だったらどうするつもりだったのですか?」
さっきは何も言わなかったのに今更になってお説教とわ。
――フレイの言う通りだね。今後は気を付けます。
「気を付けて下さいね」
なんだか最近フレイが私のママみたいになってきたよ。
などと思うミレイ。
「向こうがこちらに気づいたようだぜ」
「はい!」
返事と同時に腰の刀を抜き構える。
「今度は接近戦か」
グレイさんの声を無視してゴブリンと向かい合う。
勢いよく地面を蹴って距離を詰める。
それに対してゴブリンは防御の構えを取る。
だが、ミレイの攻撃はその剣ごとゴブリンを切り伏せてしまった。
「一撃」
後ろを振り返ってみるとそんな事をいいながら驚いているグレイさんの姿があった。
私はドロップアイテムを回収してからグレイさんの元に戻る。
「戦闘終わりましたよ」
その言葉で正気に戻るグレイさん。
「そうか。だがしかし驚いたぞ。一階層での魔法といい、今回の近接戦どちらをとってもCランクよりも遙かに上の実力にしか思えん」
「そんな事無いですよ」
ただ精霊達の能力が高いのとステータスが異常なだけなんです。
心の中で思うミレイ。
「そんな事よりも早く先に進みましょう」
「そうだな」
先へと進んでいく。しばらく歩いると次の階への階段ではなく十字路にさしかかった。今度はそこを真っ直ぐに進んでいくと行き止まりになっていたがそこには宝箱があった。
「グレイさんこれは一体?」
初めて宝箱を見るミレイはそれが何か分からなかった。
「これりゃ宝箱だ。ダンジョン内にランダムに存在する物だ。だがなかなか見つけることが出来なくて中にはレアアイテムが入ってるんだ」
「ラッキーですね!」
宝箱を開けると中から一つのアイテムが出てきた。
「これなんだろう?」
黒いボールのような物が出てくる。
「ミレイ、お前凄く運がいいぜ。そのアイテムは帰還黙っていってな何百万分の一位の確率で手に入る物だ。街で売ればかなりの額で売れるぞ」
また凄い物を出してしまったと思う。
「とりあえず持っておくことにします。何かあったときに役に立つかも知れませんし」
「それがいいと思うぜ」
帰還玉をアイテムポーチへとしまい先へと進んで行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます