第三話 精霊 1
「あなたは何者なのですか?」
ミレイは光に質問してみる。
すると光がミレイへと近づいてきて少ずつ姿が見えてきた。
「私は火の精霊、フレイと申します」
光の主はミレイの掌サイズの大きさで、赤い髪で背中に六枚の羽があった。
「もしかして昨日の夜と今日の昼間に話しかけてきたのはあなたのなのです?」
「そうです。我が主」
フレイはゆったりとミレイの膝へと降りた。
「なんで私を主と呼ぶのですか?」
「それは主様が精霊魔法を持っているからでございます」
それを聞いても訳が分からないミレイ。
「どうして精霊魔法を持っていたらあなたの主なのですか?」
「そうですね。まずその説明をしないといけません」
そこからフレイの説明が始まった。
精霊魔法とは、七人いる精霊を使役して使う魔法で、精霊が持つ属性魔法を自分の魔法として使うことができる。
精霊はミレイにしか見えず声も他の人には聞こえない。話すときは心の中で考えるだけでいい。
「それじゃ、持っている精霊次第では全部の属性魔法も使えるって事なのです?」
「私達精霊は物ではありませんので物扱いはおやめください。それに他の精霊達も自然と主様の元に集って参ります」
「じゃ、私将来的に全属性魔法を使えるようになるのです?」
「そうでございます」
――やった~! 全部の魔法が使えるのです!
心の中で無茶苦茶喜んでいた。
だがその声はフレイに筒抜けになっていた、だがフレイは何も言わずにいるのだった。
「でもどうやってフレイ達の魔法を使うのですか?」
「それは明日説明します。今日はゆっくりお休みください」
ミレイはフレイの言葉度通りに寝ることにした。だが心の中で明日が楽しみで仕方が無いようだった。
翌朝。
朝食を食べたミレイは、アレンに遊びに行くと言い家から少し離れたところにある湖に来ていた。
「ここなら大丈夫なの?」
「そうですね。こちらでよろしいかと思います」
「フレイ、昨晩の続き教えてなの」
「分かりました」
これよりフレイからの精霊魔法の使い方の指導が始まる。
「精霊魔法の使い方について説明いたします」
ミレイは体操座りでフレイの話しを聞いている。
「まず初めに自分の使いたい属性魔法の精霊を選びこう言います。『フレイ憑依』と、その言葉と同時に私達精霊は主様と融合いたします」
「それだけなの?」
「そうでございます。試しにやってみましょう」
「は~いなの!」
返事をして立ち上がり、
「フレイ憑依なの!」
叫んでみる。するとフレイが光り出してミレイの体に溶け込んでいく。
「成功です」
頭の中でフレイの声が聞こえてくる。
「この状態でも話せるの」
「そのようですね。では、一度ステータスを確認をしてみましょう」
フレイの言葉従い左目を閉じてみる。
力:SS
防御:SS
魔力:SS
運:SS
火属性魔法
昨日見たときは能力値の下には精霊魔法と書いてあったのが、フレイを憑依させた後だと火属性魔法に変わっていた。
「フレイ、ステータスの精霊魔法が火属性魔法に変わってるよ」
「精霊を憑依させるとその属性の魔法が表示されるようにございます」
「融合を解除するときはどうするの?」
「解除と唱えていただくと融合を解くことができます」
それを聞きすぐに『解除』と唱えるミレイ。
「出来たのです」
ミレイと融合していたフレイが体から出てきて目の前に現れる。
左目を閉じてもう一度ステータスを確認してみると、
力:SS
防御:SS
魔力:SS
運:SS
精霊魔法
能力値の下には精霊魔法と表示されている。
「精霊魔法最強なの」
「その通りでございます。ですがしっかり使えこなせないととても危険な力でもあります。ですので毎日のトレーニングが必須でございます」
「了解なの!」
元気よく返事をするミレイ。
「あなたが主様ですか?」
後ろから声が聞こえた。振り向いてみると、フレイと同じサイズの精霊がいた。
「あなたも精霊なの?」
「初めまして。僕は無の精霊、ナッシーと申します」
ナッシーは髪と服の色は黒であった。
「無の精霊?」
無と言われてもどんな魔法か分からないミレイ。
「無の精霊とは、属性魔法に以外の全ての魔法を使える精霊にございます」
属性魔法とは、火・水・雷・風・土・自然以外の魔法の事である
「属性魔法以外って何があるのです?」
「例えば、感知魔法や空間魔法、回復魔法などがございます。火・水・雷・風・土・自然に属さない魔法全てが該当いたします」
フレイの説明を聞き納得したような顔のミレイ。
「よろしくなのです。ナッシー」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
お互いに挨拶を交わしたところで今日の特訓は終了となった。
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