苺パンツ

苺パンツちゃん

第1話 魅惑の苺

やってしまった。

その日わたしは、膝上15センチのタイトなミニスカートをはいていた。


秋の女と言えばこれっしょ!!

と、仕事中にこっそりポチった


ZO◯OTO◯Nのニーハイブーツ。


ミスカートとの組み合わせが最高だ。

鏡の前で何度もうなずいた。

「これならいけんだろ・・・!!」


今日は初ミーティング、という名の

初デートだ。

3か月前に転職したばかりの職場で、わたしの教育係になった橋本(34)から


「最近仕事頑張ってますね!良かったら今度の土曜ミーティングもかねて、ご飯どうですか?」

というLINEをもらったのだ。


このLINEを開いた瞬間、心の中でガッツポーズを決めた。

初めて橋本に会った瞬間から、橋本のことが気になっていた。

顔は山本耕史似。かなりのイケメンだ。

物腰が柔らかく、誰に対しても丁寧、皆が嫌うような仕事も率先してやっていた。


THE好青年が、実はDV男だったというパターンはよく聞くが

今回はノーマルエンド希望で行こう。いや、ハッピーエンド期待しちゃうか。


「やば!そろそろ行かなきゃ!」

意気揚々と家を飛び出した。


「皆さん聞いてください。本日わたくしは膝上15センチのミニスカートをはいております。男性諸君、目の保養にいかがですか?」


という脳内アナウンスがかかり続けていた。


倖田來未気取りで最寄り駅近くの商店街をぬけ


待ち合わせのLA◯SON前まで

ゆったり、歩く。


すると目の前から、男子高校生の集団がやってきた。


高校生たちは、わたしに気づくと、少しはにかんだ。

わたしもにっこりと余裕の微笑み。


もう気分は、レコ大の倖田來未だ。

こんな小さな田舎の駅で

こんなセクシーな女性を、生まれて初めて見てしまったのだ。男子高校生たちには刺激が強すぎたことだろう。

はにかむのも無理はない。


その後高校生たちはきゃっきゃと色めきだっていた。


罪なことをした。


LAW◯ON前につき、鞄から携帯電話を取り出そうとしたとき


ピンクのヒョウ柄ニットをきて、たばこをふかしていたおばさんが、小走りにこちらに近づいてきた。

「こわ!」


思わず後ずさったが

おばさんはわたしの腕を勢いよくつかんだ。


「やめ・・・」

恐ろしくなったわたしが口を開こうとすると


「あなた、スカートめくれてるわよ!おばちゃんがなおしたげるから!ねっ!ほら!!」


おばさんは素早くわたしのめくれたスカートをなおし、去って行った。


「皆さん聞いてください。本日わたくしは、苺のパンツをはいております。それも大ぶりの、中学校1年生のとき、母に買ってもらったパンツです。皆さん聞いてくだ・・・」


また頭の中でアナウンスが流れ始めた。


もう2度と苺パンツは履かない。






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