第9話 ボルダリング後の焼肉(後編②)


 さてさてさて、ようやくまちにまった、いもとアイスのデザートです。


 いもは、本当に熱々みたいで、こうしている間にも、どんどんアイスが溶けてます。


 では、さっそく。


 わたしは、いもと、アイスの、両方がしっかり食べられるように、スプーンをさしこみました。


 スプーンの上にのった、いもとアイスを、一緒に口の中にいれます。


 甘い。あったかい。冷たい。


 いもの甘さと、アイスの甘さ。


 二つの甘さの違いがよく分かって面白い。


 そして、いもの熱々さと、アイスの冷たさで、口の中が不思議な感じです。


 これにしてよかった。


 これで正解です。


 これおいしいねと、S村と感動を分かち合いたくて、S村のほうを見ると、ガツガツ食べていて、なんか話しかけづらいです。


 というか、ちゃんと味わえ。


 あんな風に急いで食べたら、頭が痛くなるに決まっています。


 私はアイスと、いもを少しずつ、スプーンで切り崩しながら食べました。


 うーん、おいしい。


 しあわせ。


 なんだかんだ、私もすぐ食べてしまいました。


 ちょっと急いで食べないとアイスが溶けてしまうので。


 さて、二皿目も食べましょうか。


 と私がテーブルを見ると、なぜかS村が二皿目の、いもとアイスのデザートを手に持っています。


「とるなよ?」と私は笑顔で威嚇しました。


 S村は大人しく、二皿目を返してくれました。


 よし、食べようと、スプーンを入れましたが、あれ?


 この二皿目、いもが入ってない。


 えー、いもが入ってるから美味しいのに。


 入れ忘れ?


 忙しそうな店員さんに悪い気もしますが、店員さんを呼んで、取り替えてもらいましょう。


 と、店員さんを呼ぶボタンを押そうとしていると、なぜか、みんな笑っています。


 え、なんで?


 みんなは、私とS村を見て、笑っています。


 も・し・か・し・て


 私はS村のほうを見ます。


「てへ」とS村は言いました。


 S村、きさまーッ。

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