心の闇から光を求めて。

miyuz

第1話 海の底

暗いくらい海の底。


ここがいいの。ここが落ち着くの。


誰も来ないで。誰も見ないで。


苦しくていいの。


辛くてもいいの。


私のことなんか忘れてよ。


聞こえるのよ。無理だったんだよって。


私なんて必要なかったのよ。分かってるわよそんなこと。



だから、自分を痛めつけると、辛い気持ちを麻痺させてくれるんだから。


だから、ここがいいんだってば!


「良いんじゃない?そこにいれば。」


だれ?


「あなたよ。」


私はここに居るわ。


「じゃ、誰に話してるの?」


自分によ。


「だから、私はあなた。そこにいる事、誰かに、気が付いてほしいんでしょ。」


違うわよ。


「だから、自分を傷つける。こんなに私は傷ついているのよって。」


違う。違うわよ。


「他人が見たらわかるものよ。確信犯じゃない。認めなさいよ。」


……。


分かったわよ。そうよ、可哀そうに思われたいのよ。


自分から言わなくても、大丈夫って声を掛けられたいのよ。


でも、大丈夫じゃないっていうのが、カッコ悪いのよ。


だから、大丈夫よって。しんどくても大丈夫って。


「まぁ、辛くても、辛い顔見せないで、なんて頑張り屋さんなの。

なんて、言われたいわよね。」


そうよ、誰だってそうじゃない。よく見られたいのよ。嫌われたくないでしょ。


「ほんとに、分厚い鎧つけてるのね。」


悪かったわね。


「重いでしょ。」


大した事ないわよ。


「ほら、また。


その鎧、一つどれか外してみたら。一個くらいいいでしょ。」


一個くらいなら…


「ちょっとは楽になったんじゃない?」


 でも、不安になる。


「同じ鎧でも、鉄じゃなくって、紙にしたら?」


そんなの、すぐ破れちゃうじゃない。


「紙でも丈夫なのがあるわよ。視点を変えればってことよ。

もっと臨機応変に対応できる方が、良いでしょ。息もしやすいし。」


紙ねぇ…。


「そうそう、その調子。その外した鉄を戻さないでよ。」


探してみるかな…。






























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