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 僕はバスをつかまえ茨木駅に向かった。そこからJRに乗り、大阪駅を目指す。電車に乗る機会はあまりない。自転車を三十分も走らせれば、都心に出るのだ。最近また二軒の大型書店が開店したことで、大阪駅周辺の書店密集率は全国きってのものとなった。主要なアニメショップも揃っているし、僕の趣味もそこでだいたいの用がすんでしまう。


 空いてる席に座るとスマートフォンを取り出した。さっき着信したメールを確認すると、宮下は先に大阪駅に着き、西口で待っているという。僕はTwitterのアプリを立ち上げながら電車の中をチラッと見回した。眠っているおじさん、子供と外の風景を見ている若い母親、いろんな人がいるけど、やはり携帯を覗き込んでいる人たちが目立つ。


 子供の頃、どうしてみんな携帯を手放せないんだろうという疑問にかられたものだけどいまなら分かる。iPod、携帯。これらのツールは公共の場にプライベートな空間を作り出すことができる。僕らはきっと他人と同席する居心地の悪さを、心地よい人間関係に逃げ込むことでごまかしているのだ。僕らはいつどこにいても人とつながれるけど、そのかわり「いまそこにいる誰か」に対して耐えられくなっているのではないか。そんなことを思うことがある。僕がネット上での交流を楽しみながら、宮下に対して素直に好感を抱けないのはそのせいかもしれない、と。

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