第4話


 ――その日の夜。


 私は勝幸さんからもらった写真を携帯電話を見つめながら、少し……いや、かなり考えていた。


『ねぇ、さっきからその機械を使って何を見ているの?』

「ちょっと調べもの……」


『ふーん?』


「ねぇ、ちょっと質問なんだけど」

『ん? 何?』


 ふとある事を思い出し『確認』という意味で尋ねた。


「普通、友人に向かって『あの子』って言い方はしない……よね?」

『ん……? まっ、まぁ。それは人によりけりだとは思うけど……あんまりしないんじゃないかな』


「……だよね」

『うっ、うん』


 相変わらずな話し方をするが、あまりに唐突な質問に驚きながらも、数馬の回答は『しない』だった。


 ちなみに、そんな質問をした私も『しない』人間である。


 いや、その友人が『幼い』とか『極端に身長が小さい』とかの理由で『悪ふざけ』であれば、仲が良ければ……まぁ、話は別だ。


「でも、この人の言い方はむしろ『その言い方に慣れている』って感じだった」

『……?』


 もし言い慣れていなければ、もう少しぎこちない感じになっていたはずだ。


 しかし、あの女性は言い慣れていた。


『ごめん。全然話が見えてこないや』

「……あのね、実はこの写真の人……。私、会った事があってね」


 ただ、その会った場所は『夢の中』である。


『……? どっ、どういう事?』


 もちろん。数馬はそんな事を知るよしもないため、不思議そうな顔をした。


「ここ最近寝不足だったのは、この人の声のせいでね」

『そっ、そうなの?』


 数馬は私の言葉に驚いていた。


『それで、昴はさっきから何を見ているの』

「この写真に写っている『ヒマワリ畑』が気になってね」


『……なんで?』

「ただ気になっただけ」


 数馬にはそう言って誤魔化したが、私としては「なぜ、あの人は『ヒマワリ畑』にいたのか……」それが気になった。


 よほどヒマワリが好きなのか……何はともあれ分からない事が多すぎる。


 それに、私にはこのヒマワリ畑が、無関係だとは……とても思えない。


『でも、ヒマワリ畑なんて、どこも一緒じゃん』

「そう……かもね」


 確かに数馬の言う通りかもしれない。


 あの女性が『なぜヒマワリ畑にいた理由』は分からない。しかも、この『ヒマワリ畑』にあの女性がいたのかも……分からない。


『でも、君は気になるんだね』

「本当にね。自分でも分からないけど……」


『……そっか』

「あっ」


 なんてやり取りをしながらも、ホームページをスクロールしていると、私は『とあるブログ』で手を止めた。


『……似ているね』

「いいえ、ここよ」


 本当に自分でも分からないが、なぜか私は自信満々に言った。


『え……でっ、でも……』


 多分、大体の人は数馬の様に『似ている』と答えるだろう。しかし、私には謎の自信があった。


「…………」


 でも、その写真に写っていた『ヒマワリ畑』は肝心のヒマワリは……全く咲いておらず、つぼみしかなかった……。

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