シモーヌ編 全力を尽くす
<心停止しているもう一人のレックスのコピー>
を、生命維持装置そのものとなった
先に
そして、
「お願い、レックスを助けて……!」
シオが、着替える前の
「だけど、もう一人のレックスは助かってるんだよね。なんかすごく複雑な気分だな。感情が自分でも分からない……!」
とも口にする。
確かに。レックスが二人現れて、一人は健在。もう一人は心停止状態と、真逆なんだ。喜んでいいのか取り乱していいのか、それこそぐちゃぐちゃだろう。
「ああ、全力を尽くす」
『必ず助ける』
とは口にしない。軍人でありつつ医師でもあった彼にしてみれば、<絶対>という言葉の頼りなさ不誠実さについては、嫌と言うほど味わってきてるだろうし。
オペそのものは医療技術の発達もあって、助かる命も増えた。かつては決して助からなかったであろう事例でも、医師のオペと治療用カプセルによって、心臓も肺も完全に破壊された状態の患者でさえ、後遺症もなく回復することもあったそうだ。さすがにそういうのは『奇跡に近い』事例ではありつつな。
だから今回の事例も、助かる可能性はないわけじゃない。
そんな中で、ドーベルマンMPMらが担架を持って駆け付ける。地面が舗装されてないからストレッチャーだとかえって危険だしな。
こうして
「強心剤投与! 蘇生術式!」
オペが始められる。なお、ここで投与される<強心剤>は、一般で使われる、
<弱った心臓に喝を入れる薬剤>
のことではなく、医療用ナノマシンが添加された、
<停止した心筋を強制的に再度動かす劇薬>
だそうだ。
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