シモーヌ編 認識のギャップ
シオとシモーヌの、
<
は、なかなかに難しいものだと思う。シオの感覚ではまさに今現在、レックスや
いくら元は同一人物だといってもな。
「……そう……か……そうだよね……あなたにとってはもうそれだけの時間が過ぎたってことだよね……」
シオも<シモーヌ>である以上、これだけ丁寧に説明されれば理解はできてしまう。たとえ感情では理解したくなくとも、納得はできなくとも、自分が生きていた地球人社会での社会通念と照らし合わせてみれば、
『夫と娘を亡くしてから二十数年間待って、それから再婚を決意するようなものだ』
というのは、な。
頭を抱え、シオは様々な考えや感情を巡らせていたんだと思う。
「……」
俺達はただ、それを待った。シオが結論を出すまで。すると彼女は、五分ばかり懊悩した後で、
「……分かった……事情は分かった。だからそれを非難はしない。だけど……」
絞り出すように口にして、
「本音を言ってもいい……?」
シモーヌに問い掛けた。そんなシオに対してシモーヌも、
「もちろん。あなたは私だから。あなたの気持ちは私のそれでもあるから」
毅然とした態度で応じる。そしてシオは、
「私は、今のあなたの姿を見ているのは、つらい。頭では理解できても、心がそれを拒んでる。私はあなた達とは一緒にはいられない……」
きっぱりとそう言った。だから俺も、
「ああ。それで構わない。そのために俺達は様々な準備をしてきた。コーネリアス号で暮らすもよし。ビアンカや
と提案した。これに対してシオは、
「そっか……そうだよね。私がいるんだもんね。今回みたいな事態も想定してるよね……」
苦笑いを浮かべて、それから、
「じゃあ、当面は、コーネリアス号で暮らさせてもらおうかな……」
と告げた。
「分かった。手配する」
そう応えて俺はすぐに、
「
指示を出し、
「承知いたしました。それではシオ様、お帰りをお待ちいたしております」
丁寧に応じてくれたのだった。
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