玲編 合理的な理由
新暦〇〇三五年十月六日
命ってヤツは、奇跡のようなバランスの上に成り立っている。
それは事実だと思う。
『奇跡のようなバランスで成り立っていたものが、そのバランスを失った』
ということだと思う。だから俺は子供達を守るために手を尽くす。<過干渉>は避けようと思うが、<過保護>と言われようがどうだろうが、責任も負わない赤の他人の言うことなど耳は貸さない。
そしてそれはもう、
相変わらず
『密林の中で過ごすには、素っ裸じゃ生傷が絶えなくて鬱陶しい』
という、あくまで合理的な理由があってのことだし、感覚として分かるんだろう。
『服なんか着なくていいなら着たくない』
てのが。
その上で、エレクシア達が常にバイタルサインを傍受してくれているから、何か異変があればすぐに分かる。
これは、
<命を維持するバランス>
が保てなくなりつつあるのが分かってしまう。けれどここで無理に延命しようとすれば、十分な医療体制がない現状では、たぶん、大きなしわ寄せがどこかに来るだろう。かつての地球でも、
『ただただ死なせない』
ことが目的になってしまって、回復の見込みもない延命を行うだけになってしまっていた時期があったそうじゃないか。
正直、
『たとえどんな姿になっても生きていてほしい』
と考えてしまう気持ちも、理解できなくはない。俺だってそう思ってしまう。ただ同時に、
生きていてほしかったし、
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