灯編 ナイスファイト
ビアンカがケイン達を気にしてることについて、
『お兄ちゃんなんだから我慢しなさい!』
とは言わない。ヤキモチの矛先をケイン達や
地球人の大人だって、一方的に我慢させられることを嫌ってたじゃないか。
『言いたいことも言えない世の中なんておかしい!』
とか言い訳して、自分とは何の関わりもない相手を罵っていたりしたじゃないか。そういうのは本来、『礼儀に反する』行いだっただろう? なのに、自分の鬱憤をぶつけようとする。それこそ、『我慢する』ことなく、な。
自分は我慢したくないが、他者には『我慢しろ』と? 随分とムシのいい話じゃないか。
で、
『お前らは我慢してないクセにこっちには我慢させようとする! ふざけんな!!』
とキレた奴がトラブルを起こしたりもする。
散々そういうことを繰り返してきたのに、まだ『自分は我慢したくないが他者には我慢させようとする』というのを続けるのか?
なんでそれで上手くいくと思えるんだ?
とは言え、鬱憤をぶつける相手や手段は選ばなくちゃいけない。
今の時点では
『メンドクサイ。そんなことしてられない』
なんて甘えたことは言わずに、
ビシッ!! バシッ!!
と、とても幼児が出す音とは思えない衝撃音をさせながら、
「まだまだ! そんなものか!? ドンドン来い!」
「うおおおおおおおっ!!」
いつしか雄叫びまで上げながら、
そうしてたっぷり十分はフル回転でパンチを繰り出し続け、汗だくになって息を切らして、彼はその場に腰を落とした。そんな彼に対して、
「よし!
ニヤリと笑みを浮かべつつ右手の親指を立てて称えた。すると
それを見届けて、
「痛てて……
赤くなった自分の両手を振りながら嬉しそうに笑ったのだった。
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