新編 第一印象

新暦〇〇三四年四月九日




うららについては、直接の対処はひなたひかりに任せ、二人のサポートとまどかじゅんのフォローをする形で、時間をかけて対処していく。


他人に対してやたら攻撃的な人間は、結局、自分の家庭でこういう対処をしてもらえなかったんだろう? その時点で家庭内の実権を握ってる者、たいていは<親>だろうが、『面倒だから』『時間がないから』とそいつの都合に合わせようとして、手っ取り早く雑なやり方をされたから、そのストレスを誰かにぶつけようとしてるんだろう? 学校とか仕事とかで家族以外の誰かからストレスを掛けられたんだとしても、その<ストレスを掛けてくる赤の他人>自体が、結局、


『自分のストレスを赤の他人にぶつけることで発散しようとしてる』


だけだろう? 家庭内のストレスを赤の他人にぶつけることでストレス解消を図ってる奴自身が、


<他の誰かにとってのストレッサー>


そのものになってるってことだよな?


かつての社会はそれを見逃し垂れ流しにしてたってことだろう? ならそれが分かってる以上は、同じやり方をするのは『愚か』『怠惰』以外の何物でもないじゃないか。<他人の所為>にして自身が横着するのを正当化しようとしてるだけじゃないか。


俺はそれを是としない。


手間がかかろうが時間がかかろうが面倒くさかろうが、やるんだよ。そんなわけで、うららのことは、変わり映えのしない地味な対応が延々と続くだけなので、取り敢えず並行して次のロボット開発も進めていく。


うららのことも大事だが、停滞してるわけにもいかないしな。


でまあ、エレクシアが作ってくれた<設計図>を基に、必要な部品を用意していく。


その大本となる<鉄>については、アリニドラニ村で産出する。


アリニドラニ村から数キロ離れたところに流れている河の泥からドーベルマンMPMが採取した砂鉄を、ワイバーンで空輸。それを高炉で精製し得られた銑鉄を、ドラニと斗真とうまが鍛え、<鋼>とし、それをまたワイバーンでコーネリアス号に空輸。工作室で各種合金へと作り変え、それを材料に部品を作っていく。


いずれはアリニドラニ村内で合金にまで加工するようにしたいが、今はまだ<斗真とうま>に鋼作りを習得してもらうのが先だから、そちらはおいおいということだ。


こうしていよいよ<モノづくり>を成立させていく。これが確立されれば、ほとんど朋群ほうむ人の手だけでロボットが作れるようになっていくだろう。


そんなこんなで一ヶ月後、できた部品を組み上げてみて、純<朋群ほうむ製ロボット>のモックアップが完成した。


タブレットに映し出されるそれを見た俺の第一印象は……


『うん、やっぱり玩具おもちゃだな』


ドーベルマンDK-aができた時以上にそう思ってしまったのだった。


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