ビアンカ編 検診
新暦〇〇三四年九月二十三日
妊娠中に妊婦が受ける<検診>を、モニカが実際の処置を担当し、シモーヌがそこから得られたデータを確認して、行ってた。それによると、
「呆れるくらいに順調。アラニーズとしては本来有り得ない形での妊娠だからもっとこうトラブルも多発するかと思ったけど、ここまで順調だと張り合いがないかな。もちろん、順調なのは喜ばしいことだけどね」
などと軽口を叩けるほどに順調に推移してるそうだ。これがなにか問題があるようなら、こんな言い方はできないわけで。
アラニーズにとっての首に当る部分が痛かったりというトラブルはありつつ、そちらは<動く椅子>を使うことで軽減できてるしな。
「く~ん……」
と心配げに見上げるようになった。その一方で、ドーベルマンMPMとの<力比べ>は手抜きせず、しかも、ドーベルマンMPMの動きを学び取ったのか、攻撃が<技>っぽくなってきていた。最初の頃はそれこそ爪や牙で切り裂こうとしたり、手足を力任せに叩きつけるようなものだったのにな。今じゃ、<ジャブ>を繰り返した後に<回し蹴り>のような連携っぽいそれを見せるんだ。
そんな
ただ、
しかしそれを、ルコアは楽しそうにやってくれる。<裁縫>が気に入ったようだ。そうやって楽しめるものができたのは、実に喜ばしいことだよ。
ルコアは合わせて料理も好きだからな。
『女性ならそのくらいできなくちゃ』
みたいなことは言わないが、本人が好きで楽しめるならそれでいいじゃないか。
ここでは、<男らしさ><女らしさ>なんてことも拘らないようにしようと思う。当人の得意な部分を伸ばせばいい。そして、苦手な部分は互いに補い合う。
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