モニカとハートマン編 想定以上
ルコアの腰から下は、鱗がなくイルカやクジラのような皮膚をしていることを除けば蛇のそれとほぼ同じ構造をしている。だから、瞬間的に頭の部分を飛びかからせたりする分には大変な速度を出せるだろう。しかし、脚を持つ動物ほどの移動速度を出すのは決して得意ではないはず。
なのに、この時のルコアは間違いなく人間の短距離走選手を上回る速度で奔った。彼女が持つ潜在的な能力が、それを可能にしたんだろうな。モニカも追いかけるが、距離が縮まらない。
解析された遺伝子から彼女の運動能力についてシミュレーションも行っていたが、それ以上だ。機知の生物のそれを基にしたものでは十分じゃなかったか。
加えて、
彼女は本質的に優しい子だからな。
しかし今は、さすがに無謀だ。加えて、
さりとて、すべてが思い通りになるわけじゃないのも、人間というものの本質だ。
ただ、
テレジアも、決して遅くないのに追いつけない。それでいて、直線距離ではむしろ
だが、自分に向かって走ってくる
「ガアアアアアアアアッッ!!!」
と激しく咆哮した。と同時に、弾丸のように奔る。進路上にいたドーベルマンMPMを一瞬で蹴散らして。
「
さすがにこれには、
だが今回は、
だからこの時、引き金を引けなかった
それに、
襲い掛かってきた
もっとも、例によって例のごとく、俺には何をやってるのかさっぱり分からなかったから、後で映像を見返してようやく分かったんだが。
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