メイガス編 有意義なデータ

新暦〇〇三三年十月五日。




正直、<メイガスの身の回りの世話>については、こちらでするべきことはほとんどない。服を着ないから洗濯の必要がないし、食事は池にいる魚を自分で捕まえてそのまま食べることを本人も望んでるしで、後は、いつもドーベルマンDK-aが行ってる<池の清掃>を普段通りにやるくらいだよな。


それについても、彼女自身は、池に引き込んでいる川の下流側にいって<用足し>をしてるし、ラケシスが漏らす分には気にならないらしい。


この辺りも、完全に、肉体からもたらされる<クロコディアとしての感覚>が優位に立っているようだ。


そうでないと、クロコディアが生きている環境自体、人間(地球人)からすれば細菌うようよの不潔極まりないそれだろうから、さすがに慣れる以前に耐えられなくなる可能性もあるだろう。


肉体の側のそういう感覚に影響されて、<人格>や<性格>にも変化はあって当然だろうな。


メンタリティそのものがクロコディア側に大きく振れたとしても何の不思議もないと思う。


そういう部分も、俺はそのまま受け止める。そもそも、異を唱える意味がない。いくら人間(地球人)がベースになっているとはいえ、肉体そのものがまるで違っている<違う種族>なんだから。


完全に『住み分ける』しかないくらいに相容れないものかどうかの確認も、今、行ってるところだ。


そこまで相容れないのであれば無理せず住み分けを行う。


そんなわけで、アリゼドラゼ村とアリニドラニ村および、ドーベルマンMPMによって展開されている<ダミーの集落>の状況も改めて確認する。


いずれも実に順調だ。


アリゼドラゼ村とアリニドラニ村では、初期に建てた<住居>が傷み始めそろそろ更新の時期に入ってきているようだ。ベースに使ったプレハブについてはまだまだ問題ないものの、内装や外装に使った木材などは、そもそも建材用に厳選されたものじゃなく、開墾時に伐採したのを、難燃加工どころかまともに乾燥さえさせずにそのまま使ってるからな。湿度の変化や経年劣化で歪みも酷い。


最初は、『無駄になるから』と建てない予定だった住居についても、アリスシリーズとドライツェンシリーズの性能テストと、ここで用意した建材の耐久性などについての検証も目的に、敢えて建ててもらったが、有意義なデータが得られて俺としても満足してる。正直、この辺りに生えている木は必ずしも建材に適してるとは言い難いものの、一応、加工してから乾燥のために保存してっていうのを始めてるんだ。


アリゼ、ドラゼ、アリニ、ドラニ、ドーベルマンMPMらには感謝感謝だよ。


ちなみに、アリゼドラゼ村のりょう鈴良れいらとマッハ、アリニドラニ村の斗真とうまも、それぞれ元気だぞ。


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