晴編 救援要請
それどころか、脇が甘いと見るや蹴りを繰り出し、それを受けた
「ギッ!?」
と声を上げて吹っ飛ばされた。体格差が効いたんだろう。
人間で見れば二十歳くらいの若者が、十代前半のまだ<子供>と言ってもおかしくない相手に容赦ない蹴りを喰らわせたんだ。普通なら警察沙汰だ。
が、ここには警察なんてものはないし、あったとしても野生の獣人同士がそれぞれの習性に従ってぶつかり合ってるだけだから、<事件>でさえない。
基本的に気にしてるのは俺だけだ。当の、
思いっ切り蹴り飛ばされて地面を転がったとしても。
それを裏付けるように
しかも、逃げるのではなく、伸ばされた爪の下をかいくぐり、鈍器のような硬い頭を腹へと叩きつける。
「げふっ!?」
今度は
マンティアンの成体のそれをただの人間(地球人)が無防備に受けると、下手をすれば内臓が破裂する可能性すらあるという。
しかし、そこはさすがに相手も野生のパルディア(外見はレオンの特徴が強く出てるが)。毛皮の上からでも分かる<シックスパック>は伊達じゃない。
一瞬怯んだものの、反射的に膝を跳ね上げ
丁度、バスケットボールで相手の手にあるボールを叩き落とす感じのような。
この連続攻撃は
バランスを崩して顔から地面に落ちる。それも、明らかにダメージを受けている感じで。
膝蹴りを顔面に受けた際に、意識が飛んだのかもしれない。
これはマズいぞ!
俺は直感的にそう感じてしまった。
「
声も出てしまう。
とその時、映像を捉えていたドローンが急接近。
が、それは当たることなく、
逃げたんだ。自分の敗北を察して。
だが、
「はあ……っ!」
大きく安堵の溜息を漏らした。
いやいやまったく、心臓に悪い。
だが、突然、ドローンが
つまりその時の俺の声が、
『
というニュアンスを含んだものになってたということだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます