來編 リアルって世知辛い
大型人型兵器の話についてはまだ続きがあって、
<全高十八メートル級の巨大人型ロボット>
まで行ってしまうと、技術的には十分作れても、メンテナンス費用だけで予算を食いつぶしかねないから、軍では採用されないとも聞く。
なにしろ巨大人型ロボットって、重力下で運用する場合、ブランゲッタ(フライングカーペット機構)を搭載して重量を軽減させても、ぼけーっと立たせておくだけでもブランゲッタを作動させ続けた上でさらにバランスを取り続ける必要があるから莫大なエネルギーを消費し、いくら重量を軽減させてても、地面を捉え続けないといけないことで、複雑な動きを実現するための精密な機構を内蔵するがゆえに強度の確保が難しい脚などを中心に構造にとんでもない負担を掛け、何もしなくても勝手にダメージを負うそうだ。
腕とかも、肩からぶら下がってるわけだから、その重量を軽減するために腕にもブランゲッタを搭載する必要が出てきたり。
加えて、ブランゲッタを作動させてれば倒れないとは言っても、風などを受けてもその場に踏みとどまらないといけないからな。そのストレスたるや、ビルなどの<動かない構造物>の比じゃないらしい。
これは、民間企業とかがイベント用に時々そういうのを実際に作って人寄せに使うことで確かめられてるんだと。
『維持費だけでイベント予算の半分以上』
とかなんとか……
はっきり言って、俺の
そりゃそうだ。宇宙船がブランゲッタを作動させるのは重力圏内を航行したりする時だけだからな。
エネルギーの問題は、アミダ・リアクターの小型化によって解決されたとはいえ、
『別にそこまでして巨大人型ロボットに拘らなくても他にいくらでも便利なのがあるじゃん』
という身も蓋もない結論が待ち受けていて、どこまで行っても、
<イベント用の人寄せパンダ>
以上の使い道がないという……
リアルって世知辛いね。
それでも、<ロマン>ってものを追い求める人間はいなくならず、巨大人型ロボットは、<イベント用の人寄せパンダ>でしかなくても、時々実際に作られるというのも現実だ。
俺も子供の頃に映画のキャンペーンか何かのイベントで、巨大人型ロボットが郊外の商業施設に来てたのを見に行ったことがあるぞ。
やっぱり、単純にワクワクするよな。人の形をしたデカいのが人間と同じように動くってのは。
って、何の話をしてるんだ、俺は。
ああでも、やっぱりロマンがあるのは事実だと思うんだよ。<巨大人型ロボット>って。
そこは譲れない。
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