翔編 調査再開予定

新暦〇〇三〇年十二月十日。




すいに続いて俺とシモーヌの件も一段落ついたことで、なんとなくホッとした気分にはなっていた。だから新たな集落の開発にも力が入る。


もっとも、実際に作業をするのはほとんどエレクシアだが。


俺のローバーにはアミダ・リアクターが搭載されているから、バッテリー切れを心配する必要もない。


メンテナンス用ナノマシンも、節約しながら使ってることもあって、理論上は百年分くらい残ってる。


いや、本当はせいぜい二十年分くらいなんだが、要人警護用のメイトギアは、過酷な使い方をされることも多く、それを見越した設定なので、そこまで過酷な使い方をしなければメンテナンス用ナノマシンの消耗も少なく済み、結果としてメーカーが推奨する交換時期を越えて使うことができてる状態なんだ。


こうやって土木作業をさせてるのも過酷といえば過酷ではあるものの、それでも無理はさせてないから負荷そのものは知れてるしな。


メイフェアやイレーネ、セシリアの方についてはそれこそ、十数体のメイトギアを何十年にもわたって運用することを想定した準備がされてたから、大事に使えば千年分くらいはもちそうだ。


ただし、それがなくなると後はもう、メンテナンスなしで何とか大事に使って少しでも長くもたせるようにするしかできないけどな。


それまでにしっかりと人間社会を維持できる体勢を整えなきゃな。


アリスシリーズとドライツェンシリーズについては、その辺りも考慮に入れてる。敢えてエレクシア達のようなメンテナンスカプセルでのメンテナンスという形にはせず、アリスシリーズやドライツェンシリーズ自身がお互いにメンテナンスを行い、いざとなれば人間の手でもメンテナンスできるように作ってあるんだ。


メイトギアやレイバーギアは、ロボットとしては高度になりすぎて、専用のメンテナンス用ナノマシンありきの、人の手には負えない領域にまで行ってしまってるし。


やっぱりその辺り、高度になりすぎるというのも考え物だな。


とか何とか考えながら出発の準備をして、


「いってらっしゃい、連是れんぜ


と、シモーヌのキスをもらって出発する。


その様子を見ていたあかりは、ニヤニヤと笑っていた。


ちなみに、ひかりは相変わらず子供達の世話が忙しく、調査の方には出られていない。その代わり、ビアンカとあかりでチームBブラボーを編成して、近々調査の再開を予定している。


ビアンカ自身も、


「望むところです! お任せください!」


と言ってくれてる。惑星探査チームの警護が本来の仕事の彼女だが、惑星探査そのものにも興味があればこその出向だったそうだ。軍に人員の派遣が依頼された時に募集がかかって、自分から応募したそうだし。


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