走・凱編 応戦

互いに力を合わせる方が得策だと考えたらしいオオカミ竜オオカミだったが、そうやって狩場を確保しても、ここにはそう達が無理なく生きていける程度の獲物しか定着はしていなかったから、すべてのオオカミ竜オオカミの腹をこれからずっと満たしていけるほどじゃない。結局は狩りつくしてしまってまた追い詰められることになるだろうけどな。


とは言え、状況を俯瞰で見ることができないオオカミ竜オオカミにそれを察しろというのは酷な話だ。


その一方で、オオカミ竜オオカミの群れの数はこの時点で把握できたものだけでも三十八頭に上っていた。これに襲われたらりん達はひとたまりもなかっただろう。


しかしそれを、ドライツェンシリーズの試作機はひっくり返してくれた。


スタン弾を装填した自動小銃を両手に構え、さらに固定武装としてボディに直接取り付けた自動小銃二丁を自在に操り、りん達を援護する。


運動性、速度、狙いの正確さ、どれをとってもドーベルマンDK-aを大きく超えているのは確実だった。しかもドーベルマンDK-aとリンクして有機的に連動し、まったく死角がない。


射角が合わず反応が遅れそうな位置をドーベルマンDK-aを使うことでカバーしてるんだ。


それによって、あんオオカミ竜オオカミの牙に捕らえられそうになっていたのを救う。


確かに、みずちと戦った時のイレーネに近い強さはありそうだ。


さすがだな。今後はさらにこれをブラッシュアップして確実にあの時のイレーネと同等以上の性能を発揮できるようにすることになる。


さりとて、今回の場合は多勢に無勢。しかも、オオカミ竜オオカミ側も後がないということだろう。スタン弾を喰らっても逃げることなく立ち向かってくる。


なのでやむを得ず両腕に内蔵したナイフも展開、確実に仕留めていく。


すると、りんオオカミ竜オオカミの首筋に喰らいつき、倒した。そこに異変を察したゆうも駆け付け、応戦する。


それが時間稼ぎにはなった。ビアンカが到着するための。


りんっ!!」


叫びながら実弾が込められた自動小銃を放ち、容赦なくオオカミ竜オオカミを打ち倒していく。


そこに、やはり狩りに出ていたかい達のグループも駆け付けた。位置が悪く異変に気付くのが遅れたらしいが、狩りから戻る途中で銃声を聞き、そこからは急いで駆け付けてくれたんだ。


ちなみにそう達のところに駆け付けたビアンカが一発だけ放った時の銃声については、一発だけだったことと、ドーベルマンDK-aが駆け付けて発砲した時には、ドライツェンシリーズの試作機が何発も発砲していたこと、位置的にりん達の方が近かったことでこちらに来てくれたようだ。


それでも、数の上では不利だったものの、生身の動物に比べれば圧倒的な戦力を持つドライツェンシリーズの試作機に加えて自動小銃を装備したビアンカもいることで互角以上となったのだった。


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